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欧州公演成功の日本フィル。次はベートーヴェン

6/20(木) 18:37配信

チケットぴあ

4月に13年ぶり6回目の欧州公演を成功させた日本フィルハーモニー交響楽団。その帰国報告と、今秋から始まる「ベートーヴェン生誕250年」シリーズの発表会見が行なわれた(6月6日・杉並公会堂)。

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4月2日から14日まで、フィンランド、オーストリア、ドイツ、英国をめぐった欧州公演(全10公演)。最初のフィンランド公演には、日本フィルにとっていくつかの大きな意味があった。

日本-フィンランド外交関係樹立100周年の今年は、同時に、楽団の創立指揮者で、フィンランドの血を引く渡邉曉雄の生誕100年でもある。その渡邉が日本での紹介に尽力したシベリウス作品を、日本フィルとして初めて、作曲家の母国で演奏したのだ。そして現首席指揮者ピエタリ・インキネンもフィンランド出身。首都ヘルシンキだけでなく、彼の生地コウヴォラでも公演を行なった。「日本フィルにとっても私自身にとっても、意味のある大きな節目。私が日本フィルと過ごしたなかで、最も集中し、最も密度の高い2週間だった。連日ハード・スケジュールで移動と演奏を重ねたことも、チームとしての結びつきを高め、オーケストラとして大きく成長したと思う」(インキネン/以下同)

その成長の証がたとえば帰国後の4月の東京定期演奏会だった。欧州公演の演目で組んだ帰国報告プログラムだったが、インキネンは、知り尽くしたサントリーホールで、それまで日本フィルで経験したことのない響きを実感したという。「メンバー全員サプライズだった。サントリーホールは変わっていない。変わったのは私たちの響きなのだから」

その経験と成長を土台に臨む「ベートーヴェン生誕250年」シリーズ。2019年10月から足かけ3年、全9回(10公演)にわたって、9曲の全交響曲と、ピアノ協奏曲4曲(3番を除く)、ヴァイオリン協奏曲、《エグモント》序曲を演奏する。しかもユニークなのは、ベートーヴェンだけでなく、ドヴォルザークのレアな序曲を組み合わせたり、さらにはメイン・プロ自体が、ドヴォルザークやブルックナー、R・シュトラウスだったりする回もあること。発想が自由だ。「そのほうが面白いと思ったから。私自身も楽しみ」

インキネンは日本フィルに特有のDNAを「明るく繊細な響き」と定義づけ、「日本フィルとは、これから初めて一緒にベートーヴェンを体験するが、そのDNAは変わらない。そこに、ツアーで得た互いの信頼が生きて、怖れを知らない、エネルギーに満ちた方向に向かうだろう」とヴィジョンを語った。

そして最後にインキネンは、「まだ《運命》を聴いたことのない、新しい世代の聴衆のためにも演奏しなければならない」と力を込めた。

飾らない発言に漂う、新鮮なベートーヴェンの予感。われわれ聴き手も「知っているつもり」になってはいけない。もう一度襟を正して、インキネンと日本フィルのベートーヴェンに向き合ってみよう。取材・文:宮本明

最終更新:6/20(木) 18:37
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