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全財産1200円まで落ちぶれた実業家の軌跡――京町家の分散型ホテルビジネスを成功に導いた原動力とは?

6/20(木) 8:28配信

ITmedia ビジネスオンライン

この記事はパーソルプロセス&テクノロジーのオウンドメディア「Work Swtich」より転載、編集しています。

京都の町家街・祇園

 宿泊業が盛り上がっている京都で宿泊ビジネスを営み、急成長を遂げているベンチャー企業があります。しかし、その創業者は京都に何の縁もゆかりもなく、過去には全財産が1200円という時もあったとのこと。そんな実業家、株式会社トマルバの創業者の1人、取締役 山田 真広(やまだ・まさひろ)さんに、起業など、自分の好きなことを貫き通す上での原動力を伺ってきました。

電気もガスも止められて、全財産が1200円。それでも新しいビジネスを探し続けた

 日本だけでなく、世界から評価される観光都市、京都。「そうだ 京都、行こう。」というJR東海の有名なキャッチコピーが想起させるように、日本随一の観光地として知られていますが、近年、京都への訪日外国人旅行客が急増しています。

 アメリカの大手旅行雑誌「Travel + Leisure(トラベル・アンド・レジャー)」が出している世界一の観光都市を決めるランキング「ワールド・ベスト・アワード」で、京都は2012年から6年連続ベスト10にランクイン。2014年、2015年には2年連続で1位を獲得し、最近では京都に泊まりたくても空き宿が見つからず、近隣の大阪、奈良に宿泊する旅行者も出てきているのです。

 国内の大手ホテルチェーンや外資系ホテルはそんな京都の状況を見逃さず、次々と京都に宿泊施設を建設し、ここ10年で京都の観光、宿泊ビジネスは一気にレッドオーシャン化が進んでいます。

 しかし、そんな大企業同士のせめぎ合いがある一方で、京町家での分散型ホテルというアイデンティティーを確立し、急成長を続けているベンチャー企業があります。

 トマルバは「暮らすように泊まる」をコンセプトに、京都に進出してわずか2年で、約50棟の京町家・一棟貸しの宿を市内で運営しています。自社ブランド「宿ルKYOTO」シリーズの宿は、他の民泊宿はもちろん、ホテルと比べても高額であるにもかかわらず、予約が殺到、月間の宿泊率が9割超えするほどの人気ぶり。宿泊予約サイト「ブッキングドットコム」では、利用者から施設や設備、スタッフの対応品質などさまざまな分野で常に高評価を集めています。

―― 今、京都で急成長中のトマルバですが、立ち上げまでの経緯を教えていただけますか?

山田真広さん(以下、山田) 僕個人の話をさせていただくと、新卒で東京のベンチャー企業に入社して、そこで2~3年働いていました。そのときに今当社の代表をしている芦野 貴大(あしの・たかひろ)と出会ったのですが、僕が独立を考えていた時に芦野も会社を辞めるという話を聞きました。2人とも独立するなら、2人で新しいことをやろうという話になり、東京で「Yummy」という会社を立ち上げて「渋弁.com」という渋谷限定の宅配弁当のサービスをはじめました。

 初めは順調だったのですが、大手が宅配弁当事業に続々参入してきて……資金面なども含めて「これは勝てないな」と思ったのですが、その予感通り、売り上げもあまり伸びず、事業は明らかに失敗していました。

 その時期は、電気やガスが止まり、芦野と2人合わせて全財産1200円とかって時もありましたね。

―― 1200円しかなかったら、会社どころか食事だってできませんよね……?

山田 「渋弁.com」で売っていた弁当の余りがあったので、皮肉にも食べ物だけは困りませんでした(笑)

 そのときは「ここで折れたら負けだ」と意地を張っていましたが、どう考えても普通の状況ではなかったですし、芦野とは毎日けんかしていましたね。けど、芦野とぶつかっていたのも、あくまで「どうすれば成功できるのか」という点においてでした。そんな状況でも何かビジネスの糸口を探そうとして、もがき続けていました。

―― そんな状況にまでなって、なぜ就職などをして安定を取らず、会社経営を続けられたのですか?

山田 どんな形であれ、会社を続ける以外の選択肢が頭の中になかったこともありますけど、安定を取りたかったらそもそも会社なんてやりません。そのときは、どうやったらその状況を解決できるか、ということしか考えていませんでした。

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最終更新:6/20(木) 8:28
ITmedia ビジネスオンライン

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