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睡眠追跡アプリ、かえって不安や不眠症に 専門家が警鐘

6/20(木) 8:40配信

The Guardian

【記者:Hannah Devlin】
 スマートフォンの睡眠追跡アプリによって、自らの睡眠に対する不安が増し、強迫観念に取り付かれ、不眠症になると、神経学者が警鐘を鳴らしている。

 睡眠障害の専門家で、英ロンドンのガイズ・アンド・セントトーマス病院のコンサルタントを務めるガイ・レシュジナー氏は、英チェルトナムで開催された科学フェスティバルで講演し、十分な睡眠を取ることにこだわりすぎ逆効果となっていると指摘した。

 同氏は「睡眠追跡アプリを使ったり、睡眠不足の悪影響についての本を読んだりすることで、深刻な不眠症になってしまった人たちを多く見てきた」と述べた。さらに、大部分のアプリは臨床的に実証されておらず、単純に睡眠を追跡するだけであり、睡眠の質は分からないと語った。

「睡眠追跡アプリに対する私の考えはまったく懐疑的だ。寝起きに疲れを感じ、爽快な気分ではない時は、おのずと問題があると分かる」「毎朝、爽快な気分で起きて、日中も眠くならず、毎晩同じ時間に眠くなるなら、自分にとって十分な睡眠を取っているということで、アプリに教えてもらう必要はない」

 米シカゴの研究チームは昨年、アプリによって眠りに対する強い監督・干渉が行われ「オルソソムニア(Orthosomnia)」と呼ばれる睡眠障害を発症した患者が複数いたとの研究結果を発表している。

 多くの人にとって最適な睡眠時間は約8時間だが、個人差が大きい。元々睡眠時間が少なくて良い人でも、睡眠時間が「十分」ではないと警告されると、思い込みによる副作用「ノセボ効果」によって実際に気分が悪くなる可能性があるという。

 チェルトナムの科学フェスティバルでレシュジナー氏と同じセッションに登壇した、英エクセターを拠点とする睡眠心理学者ステファニー・ロミシェフスキ氏は、「睡眠と睡眠時間には個人差がある。このため一般的な睡眠追跡アプリを使うと、睡眠不足だと指摘され心配し始める人も出てくる」

 一方、実験の結果、いくつかの認知行動療法(CBT)アプリは、不眠症の治療に効果的だということが分かっている。

 レシュジナー氏は睡眠を測ることは、何歩歩いたか、オンライン上の友達が何人いるか、いくらお金を使ったかなどテクノロジーを使って「自分たちの生活を数値化する」傾向の一つだと指摘する。だが、これを睡眠に当てはめるのは特に問題だと、レシュジナー氏は言う。「歩数を計っていて十分に歩いていないと分かれば、もう少し運動すればいいだけだ。睡眠についてはこだわると、さらに眠れなくなってしまう」【翻訳編集】AFPBB News

「ガーディアン」とは:
1821年創刊。デーリー・テレグラフ、タイムズなどと並ぶ英国を代表する高級朝刊紙。2014年ピュリツァー賞の公益部門金賞

最終更新:6/20(木) 8:40
The Guardian

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