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「新金線」旅客化の可能性は 総武と常磐を結ぶ貨物線、課題は踏切と民意?

6/20(木) 6:06配信

乗りものニュース

最新の需要予測だと収支は成り立つ?

 葛飾区が2019年3月25日に区議会に提出した「新金貨物線旅客化の検討資料」によると、最新の需要予測では、運賃はJR幹線並み、ピーク時10分間隔・オフピーク時15分間隔の運行とした場合、輸送人員は1日最大3万8000人(2030年時点)で、3分の2が通勤・通学需要としています。ちなみに新金線旅客化がモデルのひとつとする東急世田谷線(三軒茶屋~下高井戸間5km)の輸送人員は1日約5万7000人(2017年度)、定期利用者は約52%です。

 懸案の国道6号との平面交差部は、遮断機ではなく道路信号で制御する方式とし、道路側が赤信号になったら旅客列車を通過させることを想定しています。ただしこの方式は現時点では軌道(路面電車)の事例しかないため、新金線というひとつの路線において旅客列車を軌道、貨物列車を鉄道として別個に扱うことができるかなど、現行法では想定されていない枠組みも含めて整理が必要になります。

 事業費は普通列車方式では200億円、LRT方式では250億円とされ、施設整備・保有主体と運行主体が異なる「上下分離方式」による整備が想定されました。今後は、検討結果を踏まえて関係機関と協議を進めながら、合意形成を図りたいとしています。

 需要予測が妥当ならば、単年度の収支は十分成り立つ事業と思われますが、そのためには助成制度を活用して無利子または返済不要の資金を調達する必要があります。

 例えば富山ライトレールの場合、建設費約58億円の38%を国、16%を富山県、17%をJR西日本、そして残りの29%を富山市が負担しています。葛飾区の一般会計予算は約1900億円(うち都市整備費は約150億円)、残高約200億円のまちづくり基金があるので問題ない金額とは思われますが、最終的には区民の理解が得られない限り実現は不可能です。新金線旅客化は2017年11月に行われた葛飾区長・区議選挙では争点にならなかったため、次回2021年の選挙で区民がどのような判断を下すかで方向性が決まると思われます。

枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

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最終更新:6/22(土) 13:34
乗りものニュース

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