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「老後に必ず2000万円必要」も「年金だけで絶対安心」も間違い。30歳専門家が訴える本当に必要な改革

6/20(木) 12:11配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「公的年金だけでは、老後のお金は2000万円足りない」。有識者らでつくる金融庁の審議会がそんな報告書をまとめた ―。

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「老後2000万円問題」はそう報じられて大きな反響を呼び、国会でも政権と野党の対決の焦点になっています。「2000万円も貯められない」「年金の保険料なんてもう払いたくない」と憤っている人もいるでしょう。でも、政権側・野党側の主張や報道には正確な事実に基づいているとは言えない部分もあります。

現状を整理したうえで、年金制度に詳しい30歳のエコノミストに意見を聞きました。

「平均値」でマネープランを考えても意味がない

問題の報告書「高齢社会における資産形成・管理」は2019年6月3日に公表された。金融庁のサイトにアップされていて、誰でも読める。

報告書によると、総務省の家計調査では「夫65歳以上、妻60歳以上の無職の夫婦の世帯」の支出の平均は26万3718円、年金が大半を占める収入は20万9198円で、差額は約5万円。この先20~30年生きるとすれば、収入と支出の差額は単純計算で計1300万~2000万円となる。

一方、こうした世帯の純貯蓄額の平均は2484万円。収入と支出の差額はこの蓄えを取り崩して補っている。

つまり報告書にあるデータから読み取れるのは、こういうことにすぎない。

「ぴったり平均値にあてはまるケースをあえて仮定すると、いま年金暮らしをしている夫婦は蓄えも取り崩しながら暮らしているが、介護などで想定外の大きな出費を迫られなければ、人生の終わりまで貯蓄はゼロにならずにすむケースが多そうだ」

そもそも「平均値」は、資産額も収入・支出も、金額が多い一部の人の数字に引っ張られて水準が高めになりがちだ。

どんな仕事を何歳まで続けるか。持ち家か賃貸か。資産運用はどうするか。趣味にはどのくらいのお金を使うのか……。働く世代と同じく老後の暮らしぶりも千差万別で、平均値をもとに個々人のマネープランを考えても意味はない。その平均値自体、調査の対象や手法が違う各政府統計ごとに開きがある。

実際、報告書にはこう書かれている。

「この金額(編集部注・収入と支出の差額である1300万~2000万円)はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。当然不足しない場合もありうるが、これまでより長く生きる以上、いずれにせよ今までより多くのお金が必要となり、長く生きることに応じて資産寿命を延ばすことが必要になってくるものと考えられる」

「2000万円」という多くの人にとって大きな金額は、「誰でも必ずこれだけ貯めないと老後の暮らしは成り立たない」というものではない。ただ、個々人の事情に応じたそれなりの備えは必要となる。そんな当たり前の話を述べているに過ぎない。

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最終更新:6/20(木) 12:11
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