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家族は「わかり合えない」それでも、隣にいることができる。漫画『コスモス』が描くもの

6/21(金) 12:07配信

ハフポスト日本版

子どもの頃、大人はもっと「大人」だと思っていたし、父親は「お父さん」で、母親は「お母さん」でしかなかった。

でも、実際には、30年と少しの齢を重ねて、一児の母になった私は今でも、迷って揺れて、完璧ではない、未熟な自分のまま。もちろん何かを失って何かを得て、変わってはいるのだけれど、あの頃想像していた「大人」や「お母さん」とは少し違う気がする。

子ども時代に見えていた「大人」も「お母さん」もある種の“幻想”だったのかもしれない。当時の私は、大人のことも、父と母のことも、よく知らなかった(今でもよくわからない)。

漫画家・光用千春さんが描く『コスモス』を読んだ時、子どもの頃の気持ちをほんのり思い出すと同時に、子どもを「子ども」として見てしまいそうになる自分にハッとした。

『コスモス』の主人公・花さんは、ある日お母さんが家を出て行き、お父さんとのふたり暮らしが始まる小学生。日々の営みのなかで、考えを巡らせて、「大人だって間違う」ことや「好き嫌いがある」ことに気づき、戸惑いながらも受け止めていく。

物語の中では、子ども、お父さん、お母さんが、「一人の人間」同士、「わかり合えない家族」として描かれている。

”つながりって呪いみたいだね 

でもどうしようもない

幸せであってほしいって気持ちがわきでて 

とまらないのもほんとなんだから”

シンプルで穏やかなタッチのイラストに、心にすっと染み込んでくる言葉たち。

この物語は、どんな人が描いているのだろう? なぜ今、少しずつ分かり合えない「家族」を描いたのだろう? 光用千春さんに会いに行った。

「父親のことを知らない」が描くはじまりだった

ーーどうして今、「コスモス」を描こうと思ったのですか?

そもそも、自分がマンガを描くとは思っていませんでした。絵を描くことは幼い頃から好きでしたが、本格的に描きはじめたのは美大に入ってからです。姉が美大に通っていて楽しそうだったので、私も行こうと思って。

美大でデザインの授業を受けるよりも、絵だけを描いているのがしっくりきたので、卒業後も絵を描いていけたらいいなと思っていました。

ーー大学卒業後はイラストレーターになったんですよね。

はい。イラストレーターと言っても、すぐに仕事があるわけではないので、卒業後、描いた絵を持って出版社を回っていました。そのご縁で、ある出版社でアルバイトを始めたんですね。週1回だけ、コピーやスキャンをするバイトです。

ーー「コスモス」を描きはじめたのは、何かきっかけがあったんでしょうか?

その出版社で警察関連の本が出版されたんですね。それを父にプレゼントしたいなと思って……実は私の父、鑑識官なんですよ。そのことを出版社の代表の方に言ったら、なんか面白がってくれて。「警察関係者が身内にいる家庭というテーマで、マンガを描いてみたら?」と。

いざ、ペンを握って描こうと思ったら、何も描けない。私、父親のことを何も知らないなと思ったんです。知らないことを知らないまま描いて生まれたのが『コスモス』なんです。

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最終更新:6/21(金) 12:07
ハフポスト日本版

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