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ドライバー移籍市場に予想外の展開も? 2020年F1ストーブリーグ情報

6/21(金) 11:23配信

オートスポーツweb

 今年のドライバー移籍市場は、予想外の展開が見られるかもしれない。2020年シーズンまで契約を結んでいるドライバーはわずかふたりだけで、他は現在のチームへの残留が確実視されている一方で、複雑な契約状況によりあっけなく放出される可能性も存分にあるのだ。

 F1は間もなくサマーシーズンを迎えるが、これは『Silly Season(馬鹿げた時期)』と呼ばれている。

 移籍状況についてジャーナリストやコメンテーターの自由奔放な発想から話が生まれることもあれば、オファー以上の契約を結ぼうと躍起になるドライバーやそのマネージャー、そしてチームプリンシパルによって慎重に計画的に流布される話など、あらゆる噂が飛び交う時期だからだ。

 このような動きは50年以上も行なわれてきたが、現在ではあらゆる人々が充分な裏付けがないまま、聞かされた話を自由に投稿できるSNSを利用したインターネットの新時代を迎え、この噂話レベルの話が一気に加速化している。

 これらのサイトで情報を拾ったり、それらを関係者に直接ぶつけて、何が勝手な想像からの産物なのか、あるいは誰の戦略の一部なのか、裏事情を判別しなければならない。

 これはなかなか骨の折れる仕事であることを、ここで皆さんにご承知いただきたい。

■ハミルトンとのタッグが強力なメルセデスは来年も安定か?

 移籍マーケットを語るうえでは、すべてのチームの部分を捉えなければ全体像は見えてこない。まずメルセデスは2020年シーズンまで有力なドライバーと契約を結んでいる数少ないチーム。そのドライバーは5回の世界王者に輝いたルイス・ハミルトンだ。

 ハミルトンは昨シーズン途中に契約を2年延長し、今シーズンも6度目のタイトル獲得へ視界良好。キャリアが終わるまでまだ何年も残されており、ミハエル・シューマッハーが持つ7度のタイトル獲得記録に追いつく可能性が充分残されているため、チームを離れる理由は見つからない。

 一方のバルテリ・ボッタスは、チームとの契約が今シーズン終了時点で切れる。ここにボッタスに代わりハミルトンとのパートナーを強く願うエステバン・オコンの存在がある。

 しかし、あまり知られていない話として、メルセデスには4シーズン連続でボッタスを起用するというオプション契約が存在する。

 ボッタスは自分の能力を発揮しているだけでなく、不平不満をほとんど口にせず、気分に振り回されることもなく、政治的な話も好まないので、チームの雰囲気作りには計り知れないほど貢献しているとトト・ウォルフは思っている。

 つまり、ハミルトンとの関係は、ニコ・ロズベルグとの悪夢のような時間とは正反対の素晴らしい状態にある。さらに前述のオコンはボッタスほど速くはなく、そして政治的志向が高いと思われており、チームにとっては何のメリットもない。

 メルセデスはサマーブレイク前までにボッタスのオプションを行使しなければフリーエージェントとして失う可能性があるため、来月中には契約を延長することこそが賢い投資と言えそうだ。

■フェラーリ内部にはベッテルの移籍を願う者がいる?

 メルセデスとは対照的にフェラーリはより複雑な状況に置かれている。セバスチャン・ベッテルが20年シーズンまでチームとの契約が残っていることはたしかだが、イタリアGPまでに少なくとも3勝できなければ違約金を支払わずにチームを去ることができる。

 同様に、その場合にはフェラーリのほうから見切りをつけることもあり得る。

 だが、違約金が発生しない条件は、両者が契約解除に合意した場合に限られるため、一方が契約解除を要請し、他方が履行を要請した場合は、お互いの主張を取り下げるための違約金が発生する。

 その額は1年間の報酬額に相当し、3400万ユーロ(約41億円)にもなるのだ! ベッテルが今シーズンもチャンピオンを獲得できなければ、6年もの長きに渡りタイトルから遠ざかることになり、多かれ少なかれベッテルが満足していない姿も目に浮かぶ。

 ただし、他のトップチームへの移籍を熱望したとしても、20年シーズン前に彼を雇い入れるチームは存在しないのが現状だ。

 実際のところ、フェラーリ内部にはベッテルの小さなミスや繰り返される気分の変化にうんざりし、シャルル・ルクレールのほうが速くても自分中心のチーム作りを要求する姿に移籍を強く願う者もいる。

 現在マラネロでは、ベッテルの代わりにふたりのドライバーを絞り込んでいる。優勝経験があり、常に素晴らしいチームプレイヤーであることを実証してきたボッタスとダニエル・リカルドだ。

 ルクレールがチームを引っ張り、タイトル争いに加わるまであと1、2年は必要だと考えているフェラーリのマネジメントは、信頼が厚く、複雑な状況をもたらさず、そして純粋に速いチームメイトがいればルクレールの成長が加速し、数年内には最良の結果が見込まれると考えている。

 だが前述のとおりボッタスはまだ決まっていないものの望みは薄く、リカルドは、昨年まで自らが経験してきたレッドブルとマックス・フェルスタッペンの状況が、フェラーリとルクレールとの間でも生じるのではと懸念しており、移籍をためらうかもしれない。

■レッドブル総帥の考えは未知数

 レッドブルは、フェルスタッペンが20年シーズンまでチームに在籍することは確実で、やがてはハミルトンやベッテルと同等レベルの年俸を勝ち取ることになりそうだが、チームは21年シーズン終了までに勝てるマシンを提供できなければ、フェラーリやメルセデスに引き抜かれるかもしれないというプレッシャーに晒されることになる。

 今シーズン開幕戦から大きく失望させられているピエール・ガスリーのようなセカンドドライバーにはさらなるプレッシャーが掛かっている。ガスリーについて言える唯一確実な点は、ヘルムート・マルコが指揮を執るレッドブルのヤングドライバープログラムには代わりとなるドライバーがおらず、来季に向けて代わりのドライバーを探すつもりもないことだ。

 最近、ニコ・ヒュルケンベルグが来季レッドブルに加入するという噂が流れてきたが、これは今季リカルドに予選で7戦中6戦で後れを取っていることから、ルノーとの契約更新の交渉を優位にするための手段として、彼と緊密な関係にある人たちによって流された話に過ぎない。

 姉妹チームのトロロッソは、ダニール・クビアトとアレクサンダー・アルボンが素晴らしい走りを見せているが、ガスリーの代わりとして声が掛かることはないだろう。

 クビアトは2015年と2016年の開幕4戦までレッドブルでドライバーを務めたが、戦績不振でフェルスタッペンとスワップする形でトロロッソに引き戻された。現在は当時よりドライバーとして成長してはいるが、ミスを認めるのを嫌うマルコが彼を再び昇進させるとは考え難い。

 かたやルーキーのアルボンがトップチームに入るにはまだまだ未熟で、トロロッソで2年目を過ごすことが唯一のメリットであると見られている。加えて、ダニエル・ティクトゥムが失意の気分で日本のスーパーフォーミュラに参戦することもあり、トロロッソが来年も同じラインアップを維持する可能性は高い。

 だが何をするか分からないマルコのことだ。ひょっとしたらガスリーを追い出しクビアトかアルボンの一方を昇進させたり、ティクトゥムにチャンスを与えるかもしれない。

■鍵を握るペレスの動き

 ルノーの最優先事項は、今年から2年契約を結んだリカルドをキープすることだ。しかし我々の情報源によると、メルセデスやフェラーリからオファーがあれば今年の終わりにもチームを去るかもしれないという。

 だがその際は、ハンガリーGP前までに意思を伝えなければならず、ベッテルの契約交渉がイタリアGPまで続く見込みなので、20年はルノーに残る可能性が高い。そのため最もプレッシャーを感じているのは、今年で契約が切れるヒュルケンベルグだ。

 カナダGPでようやくエンジンやマシンのアップグレードが機能し新しい契約を強く希望しているが、チームの総帥シリル・アビテブールは、オコンがメルセデスとの契約を解除されて自チームと長期契約してくれることを願っている。

 ウォルフが高く評価するオコンを手放すかどうかは分からないが、現状ではジョージ・ラッセルが代替できると考えているようで、ボッタスのシートがすぐに空くことも考えられないため、悩むことなくオコンを手放すかもしれない。

 カルロス・サインツJrとランド・ノリスがチームの期待を超えるパフォーマンスを見せ、コース内外での振る舞いも誠実で素晴らしいマクラーレンは安定した状況にありそうだ。

 若く才能豊か、そしてハングリー精神旺盛なコンビにより、チームは政治的問題を心配せずにシャシーの改善を進め、内部的な処理に対応するなど、戦ううえで一番大切な点に集中できている。

 このバランスを乱す可能性があるのは、不意に20年からのF1復帰を要望するフェルナンド・アロンソか。しかしチームは快く受け入れる態勢にはなさそうで、加えてインディ500で大失敗したアロンソの不信感は大きい。わずかなポイントを獲得するために隔週行なわれるF1への復帰はなさそうだ。

 動きがあるとすればハースだ。ロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンは共に安定感に欠け、チームの成長に寄与していない。

 グロージャンは才能こそ豊富だが安定せず、貢献度が足りない。このまま哀れな結果が続くようなら、とくに気が短いギュンター・シュタイナーから見限られるかもしれない。

 またマグヌッセンも、カナダGPで見られたように感情を爆発させ、時には無意味で馬鹿げたものに打ち込む傾向がある。だが彼はチームメイトよりも若くて冷静、そして改善の余地があるため20年は残留の線が濃厚だ。

 グロージャンのシートに収まりそうなのがセルジオ・ペレスである。開幕から予選では常にランス・ストロールより速かったが、一部のレースではチーム戦略のため先を譲ることがあり不満が募っている。

 ペレスの堅実さに加え、2000万ドルもの持参金にもジーン・ハースとシュタイナーが大いに注目しており、米国が事業のベースチームにとってメキシコ人ドライバーの招聘は思惑が一致している点もポイントだ。

 一方でペレスが抜けた場合は、父親がチームオーナーのストロールが自分が走りたいと思い続ける限り安泰なのは言うまでもない。注目はそのチームメイトで、フォース・インディア時代にペレスと同レベルのパフォーマンスを見せていたヒュルケンベルグをチームは望んでいるようだ。

 確実に言えることは、そのチームメイトに持参金は必要ないが、息子を主役にしたい父親がいるため、前途有望なドライバーの可能性はゼロだ。ウォルフから多大なサポートを受けるジョージ・ラッセルのチーム加入もほぼないため、ラッセルはあと1年、ウイリアムズで後方争いをする羽目になりそうだ。

 そのウイリアムズの片輪で、今年からF1に復帰したロバート・クビカには競争力が最低のチームでこれ以上戦う気はなく、さらに技術開発や戦術面ではラッセルのほうが優先されるため、ウイリアムズとは新契約を結ばない見込みだ。

 どうやら、今年もオファーがあったフェラーリのシミュレータドライバーの役目を引き受け、21年からハースかアルファロメオでレース復帰を目指しているらしい。

 空いたシートには、裕福な両親から3000万ユーロもの支援金がもたらされるニコラス・ラティフィが収まる見込みで、すでにテスト走行を行なっているという。

 最後にアルファロメオは、自身が楽しいと感じる限りキミ・ライコネンの続投は確実だ。しかし、アントニオ・ジョビナッツィがチームで2年目を迎えるには結果が必要だ。フェラーリから保証されているとはいえ、安定したパフォーマンスを見せなければこの先は分からない。

 ミック・シューマッハーがF2でパッとしない幸運がある内に自身をアピールしないとシートが奪われかねない。

 チームのヤングドライバープログラムに在籍しているドライバーたちはスーパーライセンスポイントが来年までには獲得できないため、チームへのメリットよりも単に代わりがいない状況に助けられているだけで、今後もプレッシャーを感じ続けることに変わりはないだろう。



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最終更新:6/21(金) 11:23
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