ここから本文です

歌手クミコ×伝説的プロデューサー酒井政利氏が語る「純愛への憧憬」

6/22(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

酒井「年を重ねるほど心の底に根付いてる」

 ♪普通の幸せしか望まないのに それが一番難しいのね――人が純愛話に心引かれるのはなぜだろうか。最愛の妻・容子さんを亡くした宮本英司氏の著書「妻が願った最期の『七日間』」(サンマーク出版)が歌になった。宮本夫妻とのご縁がきっかけで、楽曲制作に至った歌手のクミコと音楽プロデューサー酒井政利氏が純愛への憧憬を語る。

 ◇  ◇  ◇

酒井 若い頃の純愛は当然のようにあります。でもね、年齢を重ねるほど、心の底に根付いているのは純愛なんです。誰もがこれだけは失いたくないと持ち続け、隠し切れない記憶でもある。

クミコ 純愛こそ人生の宝ですよね。たとえば酒井さんがプロデュースされた「愛と死をみつめて」(1964年)は、若い男女が死に直面する純愛の物語でした。が、今回の年を重ねたご夫婦もまた、純愛とおっしゃったときは目からうろこでした。我々の年齢で純愛って言葉にすることはおろか、感情自体を認めることもどこか気恥ずかしい。でも「あるんですよ」っていわれると「そうだ、あるよね」ってハッとします。

酒井 恋人同士であれ、夫婦であれ、あるいは愛人でも(笑い)、ひとかけらの純愛が互いを支え合うんだと思います。それを捨ててしまったときは自暴自棄になってしまうんじゃないかな。

クミコ「普通の暮らしを永遠に守るのは不可能」

クミコ 私は日々の穏やかな暮らしこそが最高の幸せと感じるけれど、実はそれを守るのが一番難しい。誰もが日々を積み重ねていく中で人と出会うけれども、そこには必ず別れも伴う。永遠に守るのは不可能なんですよね。皆、蜃気楼のように消えていくものだと知っているからこそ愛おしいのだと思います。

酒井 クミコさんの歌の世界はドラマチックな面がありますね。それでいて、自身は普通の生活を死守している。これはできそうでできない。

クミコ ただ生きているだけでは心が鈍化してしまうような気がして……。酒井さんはどうですか?

酒井 芸能界は光と影のコントラストが強いぶん、そのまま私生活に取り込んでいると“激流”に流されてしまう。だから自宅に帰って玄関のドアを閉めたら、休む。紙芝居のように場面ごとに絵を引き抜いては入れ替え、一回考え直すんです。

クミコ リセットすることが大切というわけですね。

酒井 ええ。仕事に夢中になっていると、どこか摩滅する。純愛を築き、普通の幸せをつかむってことは人生の永遠の課題でしょうね。

1/2ページ

最終更新:6/22(土) 9:26
日刊ゲンダイDIGITAL

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事