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車社会の福井で電車通勤が倍増 利用者目線のサービスが効果

6/22(土) 18:14配信

福井新聞ONLINE

 福井県のえちぜん鉄道や福井鉄道を使って電車通勤する人が増えている。2018年度の通勤定期利用実績をみると、えち鉄の場合、実質的な開業初年度に当たる04年度のほぼ2倍となった。福鉄も経営再建が始まった08年度以降、えち鉄と同様のペースで推移している。駅近くにマイカーを置いて電車に乗り換えられるパークアンドライド(P&R)駐車場や新駅、夜遅くまで乗車できるダイヤなど利用者目線に立ったさまざまなサービスが、車に頼りすぎないライフスタイルへの転換を促しているようだ。

【画像】ネットで運行「福井市営地下鉄」

 えち鉄の18年度の通勤定期利用者は74万7042人。これに対し実質的な開業初年度の04年度は37万8674人だった。福鉄も、筆頭株主の名古屋鉄道が経営から撤退し、鉄道事業再構築実施計画がスタートした08年度は21万546人だったが、18年度には38万2110人まで増えた。

 1世帯当たりの車の保有台数が全国1位の福井県内で、なぜ電車通勤が伸びているのか。まず考えられるのはP&R駐車場の充実だ。えち鉄は21駅に約千台分、福鉄も14駅に約400台分を整備し、ほぼ全てが無料で使える。両鉄道の担当者は「連日多くのお客さまにご利用いただいている」と述べる。

 両鉄道の新駅も好評だ。駅間距離が長い区間や住宅地、企業の近くなどに3駅ずつを新設し、通勤客らの利用を掘り起こした。16年3月末に運行がスタートしたえち鉄三国芦原線と福鉄福武線の相互乗り入れも押し上げ要因となっている。

 えち鉄の安全性が福井市中心部の高架化でさらに向上したことや、福鉄路面軌道区間の右直分離信号と公共車両優先システム、乗降しやすい停留場のホーム拡幅が定時性確保に効果を発揮していることも「時間通りに通勤できる」との安心感につながっているようだ。

 これらのハードが生きるのは使いやすいダイヤがあってこそ。両鉄道の最終便は地方鉄道としては珍しく午後11時台まで運行しており、夜遅くまで残業があったり、飲み会があったりした時に重宝するとの声が多く聞かれる。えち鉄の担当者によると、降雪期に回数券で利用した人が便利さと快適さを実感し、春から通勤定期に切り替えるケースが増えているという。

 えち鉄勝山永平寺線の越前島橋駅P&R駐車場にマイカーを置き、福井駅付近に電車通勤している福井市の30代女性は「会社の近くに駐車場を借りる必要がないし、朝夕の渋滞ラッシュに巻き込まれない。家計にも環境にも優しいので、これからも続けていきたいです」と語る。

 公共交通に詳しい福井大学の川上洋司名誉教授は「両鉄道とも地域の後押しで再生したため、沿線住民には自分たちで生活の足を守り、育てるという意識が根付いている。そして国と県、沿線市町の財政支援で両鉄道がサービス向上と安全運行に専念できていることも大きい」と指摘。その上で「時代と価値観の変化で車利用に固執しない人が増えているのかもしれない。環境意識の高まりや健康増進などさまざまな要因が通勤定期の利用増に結びついているのではないか」と話している。

福井新聞社

最終更新:6/22(土) 18:55
福井新聞ONLINE

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