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シュレーディンガーの猫、救われる

6/22(土) 22:10配信

ギズモード・ジャパン

猫が死んでかわいそう、と思ってたみなさまにグッドニュース。

「粒子は予測不可能に振る舞う」というのは量子力学の基礎原理ですが、人工原子を使った実験で、そんなに単純な話でもないことがわかりました。量子ジャンプという原子の振る舞いはバッチリ予測が可能で、ジャンプを元に戻すことさえできたのです!

【画像】シュレーディンガーの猫、救われる

これは物理学、ひいては量子力学に依存する量子コンピュータが次段階にジャンプする世紀の大発見かもしれません。論文をまとめたIBMトーマス・J・ワトソン研究所のZlatko Minev研究員も、「量子力学に新たな可能性が示されたかたちだ」とGizmodoに語ってくれましたよ。

シュレーディンガーの猫とは

量子力学は、最小単位の原子の特性は「量子化」されるという大前提に基づいています。つまり連続的に変化するのではなく、あるところでビョンと変わる。坂道じゃなく階段みたいに変化するんですね。

たとえば最低エネルギー状態の電子に少しずつエネルギーを足してやると、普通は、じわじわ~っと高エネルギー状態に移行すると思いますよね? 違うんです。いきなり次の状態に変わるんですね。頭で考えると中間状態もありえるけれど、実際には中間状態なんてものはなく、ローからハイに遷移して、それがいつ起こるかは誰にも予測ができない、という前提です。

それをシュレーディンガーは猫にたとえて説明しました。箱の中に「放射性物質が崩壊する確率で毒ガスを発生する装置」といっしょに閉じ込めると、ふたを開けて確認するまで猫は生きてる確率と死んでる確率が半々。つまり生きていながら死んでいる。箱を開けた途端、生と死いずれか一方の状態に収束される、という理論実験ですね。実際に猫を箱に閉じ込めて毒を盛るわけではないのだけど。

実験

「でも本当にジャンプは予測不能なの?もしかしたら防げるんじゃない?」と考え、実験したのが、今回Natureに掲載された論文の趣旨です。

研究班が実験で用意した人工原子は、抵抗のない電流が通るワイヤー(真ん中にジョセフソン接合と呼ばれる絶縁体を配置)でつくった電子回路で、通常の原子は原子核周辺の電子の位置で「状態」を示しますけど、人工原子では量子化特性(電子が絶縁体を通るごとに値は変わる)で示すという違いがあります。これがいわゆる量子システム(2量子ビットの量子コンピュータ)という回路。原子の周りの電子まで、ほかの量子システムと同じ規則に準拠してつくりました。

マイクロ波は2種類用意しました。1つ目は、原子が基底状態から励起状態に遷移するどんぴしゃなエネルギー量を供給する用で、2つ目は遷移常態の回路のエネルギーを間接的に測定する用です。

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最終更新:6/22(土) 22:10
ギズモード・ジャパン

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