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[寄稿]米国対中国の“世界標準戦争”、韓国は何をすべきか

6/22(土) 12:42配信

ハンギョレ新聞

[HERIの目] 5G標準技術めぐり死活を賭けた戦い 中国、20年近く国際標準系を蚕食 地理的・産業的に全方向拡大する見込み データ現地化葛藤に飛び火する可能性

 「松下のVHS vs ソニーのベータ」、「ブルーレイ vs HD-DVD」、「Windowsインターネットエクスプローラ vs モザイクブラウザ」

 一つの産業分野で真っ向から対立した規格間競争を語るとき、しばしば言及される事例だ。この競争は「オール・オア・ナッシング(all-or-nothing)」の結果に終わり、敗北した企業は莫大な投資をして開発した新技術がごみ箱行きとなる残酷な結果をむかえるはずだ。こうした理由から、戦争になぞらえて“規格戦争”(standards war)と呼ばれる。戦争は通常、国家対国家の対決を称する言葉で、“規格戦争”という一つの産業内で企業の生存がかかった激しさを強調するために使われた比喩に過ぎなかった。ところが最近、本当に規格“戦争”が起きている。

 最近の5G標準技術をめぐる競争は、単に情報通信技術産業内で華為(ファーウェイ)とその他の企業が行う競争ではなく、米国と中国の両国間で死活を賭けた“戦争”の様相を帯びている。中国が世界規格競争、特に情報通信技術分野で初めて挑戦状を突きつけたのは2003年、“WAPI”というWi-Fi用セキュリティプロトコル規格を通じてだ。その年のある日、中国政府は今後中国で生産され使用されるすべてのWi-Fi製品は、中国が独自に開発したWAPIを義務的に装着しなければならないと発表した。莫大な内需市場を武器に、Wi-Fiセキュリティー規格を掌握する意図だったと見られる。これは、インテルなど米国企業の反発を招き、当時国務長官だったコリン・パウエルが、万一これを予定通りに施行するならば米国との貿易紛争を覚悟しなければならないとの公式書簡を送った。中国は無期延期という手を出し一歩退いた。

「一帯一路」も中国技術の世界規格化戦略

 今日の中国は16年前の中国ではない。したがって、昨今の規格戦争は「世界規格大戦」と称することができるほど戦線が全世界に広がっている。あたかも第1、第2次世界大戦のように、世界が二つの陣営に分かれて争う様相だ。米国は欧州と日本を連合に引き込み、中国の華為はロシアで5Gネットワーク設置契約を結んだ。習近平とプーチンは契約式に自ら参加し、結束を見せた。今、世の中の関心はこの戦争がどのように流れて結論に至るかに注がれている。ここには三つの観戦ポイントがある。(残念なことに、韓国は座って観戦評だけ出していられる余裕ある観衆ではなく、中間に挟まって困惑する当事者だが)

 第一に、中国は20年近く規格戦争の陣地戦を準備してきた。2003年に最初のWAPIの挑戦で苦杯をなめた中国は、その後国際標準系を少しずつ蚕食してきた。中国は今や主要国際標準化機構(ISO、ITU、IECなど)において人的にも技術的にも主流に浮上している。例えば、国際通信標準を制定する国際電気通信連合(ITU)事務総長には、中国人の趙厚麟が今年初め4年任期で再選された。

 こうした事例は数え切れない。上層での中国の主流化は、当然基盤があってこそ可能だ。各種の標準化機構の技術委員会は、中国の専門家たちが圧倒的多数を占め、塹壕を構築してきた。さらに韓国人は私たちのものと考える高麗人参の国際標準化も、中国によって主にリードされているという事実を知れば、驚いて不愉快に思う読者が少なくないだろう。

 中国による国際標準化機構の掌握は、単に人海戦術によったものでなく、すでに様々な分野で技術力によってバックアップされている。5G分野の場合、標準特許(Standard Essential Patent)の3分の1以上が、華為をはじめとする中国企業に属する。WAPI、中国の3G標準であるTD-SCDMAなどの事例から、内需市場依存戦略の限界を痛感し、知的財産権、特に標準特許確保戦略に切り替えたのだ。標準の観点で見るならば、中国の“一帯一路”も中国技術の世界標準化戦略だ。実際、一帯一路の公式文書にはこのように解釈できる記述が多数存在する。

 第二に、この戦争の戦線は地理的にも産業的にも全方位へ拡大されるだろう。韓国にとって意味ある戦線は、特に2カ所だ。地理的にはASEAN、産業的には4次産業革命融複合産業だ。スマートシティ、自動運転車、スマートファクトリー、エネルギー管理、ヘルスケアなど、5Gが可能にする融複合産業で、すでに標準特許を確保するための競争が激しい。中国の次の新市場と産業中心地に浮上しているASEAN地域は、こうした融複合産業競争の戦場になるだろう。

 第三に、今回の世界規格大戦は、2次世界大戦に拡張される可能性があるが、それはデータをめぐる争闘、すなわちデータ現地化(data localization)をめぐる論争だ。ここでも米国を中心にして国境を越える自由なデータ流通を支持する軸と、中国に代表されるデータ保護主義の軸、二つの陣営が尖鋭な対立戦線を作り出している。現在、韓国では車両シェアリングサービスが一歩も前に出て行けなくなっているが、これを単なる既存産業と新産業の衝突とのみ見るのは近視眼的だ。これは、世界データ戦争で韓国企業らがデータを蓄積し、プラットホーム運営の経験を積み、国際競争に参戦するのか、あるいはこのデータ戦線で観衆としてのみ残るかという観点で見る必要がある。

 三つの観戦ポイントは、種々多様な戦線で、韓国がどのような立場と作戦を持って臨まなければならないのかという質問を投げる。華為問題に際して、すぐにどの列に並ばなければならないかという観点を越えて、巨視的で未来指向的な目標を立て、戦術と戦略をたてなければならないのもそのためだ。

イ・ヒジン延世大学国際学大学院教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

最終更新:6/22(土) 12:42
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