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介護離職ゼロ 目標実現不透明 テレワークや在宅勤務 理解広まりにくく浸透せず 現場を訪ねる

6/24(月) 6:00配信

上毛新聞

 「体力的にも、精神的にも限界だった」。筋萎縮性側索硬化症(ALS)の妻(56)を介護する群馬県伊勢崎市の男性(57)は休職を決意した1年半前をこう振り返る。

◎仕事と両立 支援望む

 男性は、集合住宅の運営管理会社に勤務していた。妻がALSと診断された2016年当時は長野県内の営業所を統括する立場だったが、介護のため、高崎市内の店舗に異動。それでも仕事を休まざるを得ない場面が多々あった。

 病状が進行すると、生活の負担が増した。出勤前や帰宅後は家事や介護に追われた。床ずれを防ぐため、夜は2時間ごとに妻の体の位置を変えなくてはならなかった。1日2時間以下の睡眠で働いたが、収入を失う経済的な不安の方が大きかった。結局、そんな状況が1年続き、耐えきれずに休職を余儀なくされた。

 その後、会社からは復職の選択肢を示されたが、休職の9カ月後に退職。「散々迷惑を掛け、職場には戻りづらかった。病気の程度や経済状況は違っても、同じような状況で仕事を辞めた人は他にもいるでしょう」とつぶやいた。

 総務省の就業構造基本調査によると、17年9月までの1年間に家族の介護や看護を理由に離職した人は全国で9万9000人。12年の前回調査(10万1000人)とほぼ同程度だった。政府は「介護離職ゼロ」を目標に掲げるが、どこまで実現できるかは不透明な状況だ。

 こうした中、自宅で働きながら家族を介護する人もいる。都内のウェブ制作会社に勤務していた桐生市の男性(53)は17年4月、母親(81)が認知症と診断されたことを受けて実家に戻った。個人事業主として、在宅でウェブデザインなどを手掛け、介護と仕事の両立を試みた。

 母親が自宅を抜け出し、警察に保護されたこともある。ただ、「自分の目が行き届くため、安心して作業に打ち込めた」という。その後、入所先を見つけ、現在母親は市内の介護施設で生活。自宅で同居する父親の世話をする。

 最期まで地域で過ごす地域包括ケアシステムの構築が進められ、令和の時代ではさらに在宅医療・介護の重要性が高まるとみられる。男性は「まだテレワークや在宅勤務が浸透しておらず、介護者を支援する仕組みが不十分。介護で離職する人をなくすため、仕事と両立できる態勢を早く整えてほしい」と願う。

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最終更新:6/24(月) 6:00
上毛新聞

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