ここから本文です

「料理が嫌い」じゃダメですか? 『自炊力』著者・白央篤司さんインタビュー

6/24(月) 12:01配信

メシ通

料理が、楽しいと思えない

私は、料理が嫌いです。
全くできないわけではないけれど、楽しいと思えないのです。安い食材を買いだめしても、使いきれなくて腐らせてしまったことは数知れず。興味がないから、作るもののレパートリーが変わらず、同じような味のものばかり食べることになって飽きてしまう。そして、結局、人が作ったもののほうがおいしいから、外に食べに行ってしまう。
料理上手な友人たちに引け目を感じながらも、そういう気持ちはなかったことにして、長年「料理できないキャラ」で押し通してきました。

冷凍食品で栄養バランスはよくできる?『栄養と料理』編集委員に聞いた

そんな私が出会った1冊の本は、「人間、向き不向きがあり、料理に興味が持てない人もいる」「自炊ができないことは悪いことではない」と言い切ってくれました。
その名も『自炊力』(光文社新書)。
作らずに「買う」ことだって自炊であること、「これならできそう」な自炊の方法、テレビの料理番組の活用法、スープや味噌汁がおかずになること、健康のための栄養の考え方など、この本は料理以前の食生活改善スキルを優しく語りかけるように教えてくれるのです。おかげで料理が苦手なことに対しての罪悪感から少し楽になれた気がします。

そこで、著者のフードライター白央篤司さんに、さらなる疑問をぶつけ、より楽しい料理ライフを送る方法についてお伺いしました。そんな私が出会った1冊の本は、「人間、向き不向きがあり、料理に興味が持てない人もいる」「自炊ができないことは悪いことではない」と言い切ってくれました。

──著書『自炊力』がすごく売れているそうですが、私も含めて「こういう本が欲しかった」という方がたくさんいらっしゃると思います。実際、読者の方からはどういう反響が一番多いですか?

白央さん:「料理ぐらいできなきゃいけないっていう呪縛から、ちょっと解放された」「ホッとした」的な感想を女性の読者さんからいただくことが、すごく多かったですね。それって裏返すと、「やっぱり女は料理できたほうがいい」という考えがまだまだ強いんだなと思って、驚きました。

──実際、そういう言葉を聞くことは多い気がします。

白央さん:料理って、単なる一つのスキルとして見てもらえないんですね。「女らしさ」とか、「母性」とか、「優しさ」とか、「思いやり」とかの代名詞になってしまってる部分がある。「おふくろの味」みたいな。母でもないのに「おふくろの味」が作れないことに罪悪感を覚えている人もいる。それって、しんどいよなあ……と。

──それは、本を書く前から、そういう疑問があったのですか?

白央さん:そうですね。僕は最初、料理雑誌やグルメ雑誌で料理の記事を作っていたんです。それから『メシ通』をやるようになりました。『メシ通』は、読者層が雑誌のそれとはまた違う。グルメ雑誌とか料理のレシピ雑誌で喜ばれるような内容の記事だと、一般的な読者にはさほど響かない。

──読者が求めているものが違うのかもしれませんね。

白央さん:『メシ通』のような、もっと大きな層のニーズを考えたとき、コンビニ頼りの食生活をしている人にとって有用な記事を作れないかと思ったんですね。料理にさほど関心がない、あってもやる時間や気力がないという人、多いですから。
また仕事の帰りが遅くて買い物もできない、だからコンビニ利用になってしまうという人も多いですよね。なにより、コンビニ食を続けてることに罪悪感がある人はすごく多い。だからこそ、「コンビニで買った食材でバランスよく食べる」みたいな記事が必要だよな、と思いました。

──コンビニ食でバランスよく、ですか。

白央さん:みんな体調や健康のことはやっぱり心配ですからね。コンビニ食に不健康なイメージ持ってる人、わりといませんか? だからこそ「組み合わせて買う力からつけようよ」「ちょっとしたことで手作り感は増すよ」みたいな読みものを作れたらと思ったんです。結果的にわりと多くの読者に長く読まれてます。

──皆が知りたい情報だったんですね。

白央さん:冷凍野菜のちょい足し法とかを書いてみて、料理してないことへの罪悪感を抱えた人が多いもんだな……と、あらためて気づかされて。男性でも多いけど、やっぱり女性はさらに多い印象ですね。「料理ひとつできなくて」とか「料理ぐらいできなきゃと思うんですが……」的に、ネガティブな表現が言葉の端々に出る。

──そういう女性が予想以上に多かったんですね。私のまわりは料理上手の女性が多いもので、自分だけかと思っていました。

白央さん:自炊って自分のためにやることで、自分がよけりゃそれでいい。誰の目も気にすることないはずです。図太くなってほしいなあ……と思うけど、そうなれないから悩んでしまう。だから、そういう人たちがホッとできる本、「あなたに見合った自炊スキルとは何か、一緒に考えませんか?」という本にしたいという気持ちは、最初からありました。

1/7ページ

最終更新:6/24(月) 12:01
メシ通

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事