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「トヨタは選んでもらう立場」(章男社長) 複雑さ増す勝利の方程式

6/24(月) 8:51配信

ニュースイッチ

自動車メーカー、濃淡あるネットワーク状態が続く

 一つのプラットフォーム(車台)で組み立てる車種を増やし購買などのコストを低減。それにより価格競争力を高めてシェアを拡大し一層のコスト削減に結びつける―。こうした好循環を描くのが、自動車メーカーの勝利の方程式だった。

 しかし「CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)」時代を迎え、勝利の方程式は複雑さを増す。対処すべき課題は広範囲にわたり、数量規模拡大だけでは対処しきれない。自動車産業に詳しい藤本隆宏東京大学教授は「ある1社とすべての事業でべったり提携するのではなく、事業内容ごとに提携効果を見極めた方が良い場合もある」と指摘する。

 また各国で電気自動車(EV)の充電インフラの整備度合いにばらつきがあったり、シェアリングなど移動サービスの商習慣は異なったりする。

 基礎分野は共通化してもエンドユーザーと接する分野の戦略は柔軟に変化させられた方がベターだ。藤本教授は、緩やかな提携関係を指向するトヨタ自動車などを念頭に「業界の提携関係は、単純に幾つかの塊に分かれるのではなく、濃淡あるネットワーク状態が続く」と分析する。

 一方、仏ルノーは資本関係を伴う強い提携に積極的だ。欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)から受けた経営統合案は仏政府の横やりで白紙に戻ったが、ジャンドミニク・スナール会長は12日の株主総会で「自動車産業で初めて欧州のチャンピオンをつくろうという話だ。このチャンスに目はつぶれない」と再協議に含みを持たせた。また企業連合とFCAとの統合の「二つは切っても切り離せない」と強調し、日産自動車、三菱自動車を含む4社連合の形成に意欲をみせた。

 ほかに今後の再編で台風の目となりそうなのは、韓国の現代自動車、仏グループPSAだ。PSAはトヨタと欧州事業など一部で提携するが、現代自とともに特定のグループに深く属していない。PSAと現代自は世界販売でトップ10入りする規模もあり、どのグループと、どういった形で関係を築いていくかで業界勢力図は変わってくる。

 厳しくなる環境規制、CASEという大波を乗り越えるために適しているのは、トヨタ型の緩やかな提携か、もしくはルノーが指向する強い提携のどちらか、まだ明確な解は出せない。ただ単なる数合わせではなく、多分野で自社の強みで相手の弱みをカバーする相互補完関係が成立しなければ、十分な提携効果を得られないことは間違いない。

 「仲間づくり」を進める豊田章男トヨタ社長は「トヨタが(相手を)選ぶわけではなく、トヨタは選ばれる立場」と話す。自動車メーカー各社が、“1500万台クラブ”で存在感を示していくためには、「自社の強みを磨き上げる」という古くて新しい取り組みが一層重要になる。

最終更新:6/24(月) 10:30
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