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【JFKO】空手全日本5連覇達成した女子大生・菊川結衣が、試合直前まで引退考えた理由

6/25(火) 12:29配信

イーファイト

 2013年に発足した国内313流派・会派が加盟する全日本フルコンタクト空手道連盟(JFKO)の5回目となる全日本選手権大会に女子軽量級では菊川結衣(21=芦原会館)が軽量級で優勝し、何と5連覇、第1回大会から全て優勝という偉業を達成した。

【フォト】五連覇を達成した菊川結衣 後ろには芦原英典館長

 JFKOには新極真会や芦原会館、士道館、白蓮会館などフルコン大手団体らも加盟し、大会では全国から選りすぐられた強豪がトーナメントで凌ぎを削る。

 この優勝でイーファイトが5月度「ゴールドジムプレゼンツ格闘技月間ベストファイター」に菊川を選び、インタビューを行った。
 菊川は優勝を果たしたものの準決勝で相手の突きが顔面に当たり、鼻が骨折、手術で入院。退院後、稽古に復帰した菊川に今回の大会を振り返って貰った。

 全日本大会は5月18(土)、19(日)と2日間に渡って行われ、出場した軽量級39名の中でも菊川は身長150cmに満たず体重も50kg以下と小柄だが、左右へのステップワークから繰り出される男子顔負けのパワフルな突きの連打を得意とし勝ち上がる。
 菊川は体重無差別の大会でも活躍、新極真会主催の世界大会では2015年の大会で第4位、全日本大会では2014年と2016年に準優勝と体格差を超え激闘を演じる。

 手術へと発展した鼻の骨折は大会2日目の準決勝。本戦終盤、菊川がローキックを空振り転倒する途中で菊川の顔面に相手の突きが当たるアクシデント。ルールは素手のため手による顔面への打撃は禁止だ。倒れた瞬間のことでもあり試合は続行され、判定は引き分け。しかし「判定を待つ時に、ちょっと鼻を触ったら血が出ててびっくりした」(菊川)。延長戦の前に試合が止められ、ドクターチェックが数分間取られる。
 結局血は止まらず、鼻に綿を詰めて続行。得意の強打に加え左右のローキックを加え、菊川が決勝へと進出した。

 その状態で決勝へ。相手は成田麗(七州会)で菊川が第一回全日本大会の決勝で戦った強豪だ。パンチの手数が多い成田に、本戦は引き分だったが、延長戦では菊川が得意の重い胸へのパンチ、ローキックを連続で入れ、最後まで攻撃を緩めなかった菊川が、判定3-0で優勝した。

 これまで優勝が当たり前と思われた菊川だが、インタビューでは意外にも今回の出場は、直前まで悩み続けたと告白。「今まで生きてきて、一番精神的に苦しかった」という。

 大会2ヶ月前、師匠の西山師範に「選手を続けるのは無理です。今までありがとうございました、恩返しできなくてすみません」と選手引退を伝えた菊川。師範からは「了解しました。自分で決めたなら大丈夫です」と返ってきた。

「ケガも昔と比べて多くなってきた。年下の選手もどんどん出てきて怖い。身体の変化もあり、稽古でバテることが出てきた」と、選手生活の中様々な不安があったという。
 特に「20歳を超えてから生理前にとてもだるくなり、貧血の症状が以前よりひどくなっていた。それに伴い体調不良も出て、どう対応すればいいかわからない」という。女子の道場生や、知り合いの女子選手、西山師範などに相談していた。
 さらに現在は大学4年生。「就職活動して、将来のことを考えるようにもなった。このまま空手だけやって社会に出て、仕事出来るのかな」という不安も。

 「代わりに新しいことをするのもいいかな」3日間稽古を休んだが「体がムズムズして、練習行きたいな」と、4日目にして稽古復帰。試合に出るかは保留としつつも、稽古自体は続行した。 

 自分の戦い方にも疲れていた。「4連覇した時に、自分にはもう伸びしろがないかも」と感じたという。「以前は本戦で勝てていた相手が、次の大会で当たると延長、さらに次の大会では再延長…。勝ってもだんだん不安になって、まわりの選手のレベルがどんどん上がっていく中、自分は変わってないんじゃないかと思っていました。先生は『このまま稽古していけば大丈夫だ』と言ってくれるんですけど…」(菊川)。

 稽古中も「前はもっと動けていた、前の自分はもっと頑張っていた…」と精神的に追い込まれる日々が続いていた。

 それでも、少しづつ出来る範囲で変えていった。体調に関しては、以前は調子の悪い日も無理をしては「今日も動けなかった」と落ち込んでいたが、動けない日は「仕方ない」と割り切るようにした。就職活動も「自分では無理かな」と思う所にもエントリーし、インターンも積極的に参加。内定を見込める企業も増えてきた。

 ある稽古合間の休み時間にふと「試合に出ます」と言う言葉が、口をつくように出た。西山師範は「うん、わかってる。最近は試合に出るオーラになってる」とうなずいた。試合まであと3週間だった。

 母親にはさらにその1週間後に出ると伝えた。身体や将来を心配し、迷い続ける菊川を優柔不断だと怒っていた母親だったが「結衣ちゃんらしい組手を見せてがんばってね」と言ってくれ、食事など徹底的にサポートしてくれた。

 2週間前には会場近くのホテルも空きはなく、カプセルホテルに宿を取った。「浴場もなく、隣からは大音量で動画の音。応援に来てくれた友達と銭湯に行きました」と笑う。

 そして達成した5連覇。菊川は振り返る。「緊張しつつも、今までとは違う戦い方が出来ていると感じました。突きだけに頼るのではなく、ローキックを試してみたかった。第一回では、もっと蹴りも出していたし」

 来年は就職する。世界大会には、頑張りたいが確実に出場できるとは言い切れないという。「勝つたびに『さすが』と言われるけれど、そんなに強くない、毎回疲れてる。でも今回は、もしかしたら、まだ頑張れるかもしれないという手応えを感じました。勝って、周りの人の支えに応えられた。(試合に)出て良かった」。
 試合だけではない、女子大生から社会人へ、菊川の自分と向き合う戦いは続く。

最終更新:6/25(火) 20:42
イーファイト

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