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「すしざんまい」危うし!? 東京進出する「スシロー」が蹴散らす同業者とは

6/25(火) 5:10配信

ITmedia ビジネスオンライン

必勝パターン確立に向けて動くスシロー

 通常の郊外ロードサイドのスシローなら建物面積は100坪必要だが、都心のビルインタイプでは70坪以上を出店の基準としている。若干狭くてもいいと条件を緩和しているのだ。その代わり、これまで出店してきた山手線沿線の店では、1皿の値段が120円からと高めに設定されている。それでも、今まで都心部にあった回転寿司チェーンよりも相対的に安いので、どの店も好調に推移している。“120円寿司”でも成功している現状があるからこそ、今回のキャンペーンのような大胆な策を取れたのだ。

 スシローでは都心型店舗を成功させるためにさまざまな実験を行っている。荻窪店は2階、BIGBOX高田馬場は9階、国分寺店は地下1階の出店である。イトーヨーカドー武蔵小金井店は、イトーヨーカドーを核としたショッピングセンター内にある。1階路面ではないさまざまな物件を試して、どういう駅前立地なら成り立つのか、必勝パターンを確立するための情報収集を急いでいるように見受けられる。

 また、スシローは近年業態開発を進めており、10坪という狭い立地でも出店できる「スシローコノミ」や、25坪から出店可能な寿司居酒屋「鮨 酒 肴 杉玉」を開発している。スシローコノミはフードコートに向いた業態で3店舗まで増えた。

 一方の杉玉は299円をベースとした値段設定を行っており、回らない寿司を提供している。バルサミコ酢を使った黒っぽいシャリが特徴で、寿司や刺身をつまみにちょっと飲むにはいい感じのチェーン店らしくない落ち着いた雰囲気だ。現在7店あるが、今後、5年で100店を目標にしている。

 スシロー、スシローコノミ、杉玉を織り交ぜていけば、乗客数の多い山手線や中央線の駅前では全駅の駅前に出店するのも可能かもしれない。お手並み拝見といったところだ。

豊洲移転の影響は避けられないすしざんまい

 さて、スシローの挑戦を受けて立つすしざんまいは、東京を中心に他業態を含めて60店ほどの店舗数がある。外国人観光客が多い浅草雷門店などは順調そのものと見受けられるが、本店を築地場外市場に設けるなど、築地を拠点に経営してきた。改装中・休業中も含めて14店が築地に集中しており、やはり築地市場の豊洲移転が響いているようだ。

 築地場外の何店かで聞き込みをしたところ、休日の来街者は外国人を含めて半分以下にまで減っているという。それでも、移転直後に比べれば「豊洲は歩いてみて面白みがない」と感じ、築地場外に戻ってくる顧客も幾分増えてきている。しかし、パッとしない状況だ。築地市場が豊洲に移転して、築地場外もなくなってしまったと思い込んでいる人も多い。それが来街者激減の一因だが、築地場外が元気に営業しているという宣伝が足りていない。

 東京都は築地市場跡地を見本市会場などに再構築するとしているが、まだ先の話であまりあてにならない。

 この苦境は同じく築地場外を拠点とする「築地すし一番」、「築地すし鮮」などにも共通しており、築地場外の顧客回復に苦慮しているうちに、他の都心部にある店がスシローの侵攻で顧客を奪われると厳しくなる。

 すしざんまいは回転寿司も一部あるが、職人がきちんと握る寿司専門店だ。スシローをはじめとする大手チェーンのように、スイーツに注力し、ラーメン、フライドポテト、コーヒーなども出すファミレス化した路線とは異なる。そして、ロボットが寿司をつくる回転寿司とは全く違った業態である。

 しかし、スシローをはじめ大手各社は100円以上する高級なネタにも力を入れ、顧客単価千数百円で自分の好きなネタをチョイスして食べられるシステムを構築している。

 10月からの消費増税が実行されてしまうと、景気の低迷が長期化するのは避けられまい。懐が寂しくなると、すしざんまいに行きたくても行けない人も多くなるだろう。

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最終更新:6/25(火) 6:57
ITmedia ビジネスオンライン

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