ここから本文です

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』SUGIZOとmiwaが語るシャアの魅力―「実はすごく中途半端な存在、でも僕にはカッコよく見えた」

6/25(火) 12:20配信

超!アニメディア

 NHK総合テレビにて放送中の『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』。本作の第3弾エンディングテーマ、SUGIZO feat. miwaの新曲「A Red ray」が6月25日より配信リリースされる。今回、リリースにあわせてSUGIZOとmiwaの対談が実現。ガンダムや楽曲への想いを語っていただいた。

【関連写真】SUGIZOとmiwa撮り下ろし写真とTHE GUNDAM BASE TOKYOの展示

――SUGIZOさんは40周年を迎えた『機動戦士ガンダム』(以下 ファーストガンダム とも表記)の、40年来のファンということを伺っていますが、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』(以下、『THE ORIGIN』)の主題歌制作に関わられるとなったときのお気持ちを教えてください。

SUGIZO もちろんとても感無量ではあるんですけれども、そもそも想像もしていなかったですよね、僕自身が。ガンダムに対して仕事で関わることになるとは。子供の頃から普通に、すごく好きだったものに対して、仕事をしたいとはあまり思わないよね?

miwa 確かにそうですよね。関わるなんてなかなか想像がつかないことですよね。

SUGIZO そうでしょ? 夢にも思わなかった。ところが5年前のガンダム35周年のときに、今のバンダイナムコエンターテインメントの社長で、当時サンライズの代表取締役社長だった宮河(恭夫)さんからガンダム35周年で開催された立像プロジェクトにパネルディスカッションでお誘い頂いて、そこでみなさまと知り合って一気に深く繋がることになった感じですね。

――そんなおふたりが思う『THE ORIGIN』はどんな作品だと感じていらっしゃいますか?

miwa わたしが子供の頃は(ファーストガンダム以降の)新しいシリーズが放送されていて、『機動戦士ガンダムSEED』を見ていた世代でした。でも今回は『THE ORIGIN』なので、ファーストガンダムよりも前のお話ということで一から勉強させていただきながら作品に触れさせて頂きました。コミックを読んだり、作者のみなさまのドキュメンタリーを見たりすると、アニメはおもちゃに紐づいていたり子供向けな要素もあると思うんですが、物語自体がすごく大人っぽいですし、なかなか1回では把握したり理解をするのが難しいくらいに人間ドラマが詰まっていてどんどん引き込まれていってしまうんです。それと、それぞれの正しさや正義のある中で戦いが終わらないということが根底にあって。ヒーローがいて敵がいて、ではなくてみんながそれぞれの正義を持っているし、主人公がいるようでいない、というか。誰の味方をしたら正解、というものがないからこそ読む人によって誰に感情移入するのか、誰の気持ちに寄り添うのかで感じ方も変わって来るのかなって思って。場面によって応援したくなる人が変わるような気もしていて、それが人間なのかな、と感じる作品です。

SUGIZO 敵も味方もないんですよね。善も悪もなくて。僕らが最初にファーストガンダムを見たときには、地球連邦が正義で、ジオンが悪なんだけど、よくよく深く知っていくと連邦の上層の方がよっぽど腐敗しているし、ジオンは元々はスペースノイド(宇宙移民者)が人類の歴史の中で何回も民主的な革命が行われてきたという正義を持って、連邦からの独立を目指して戦っていたわけで。そう考えると、子供向けの作品では初めてだったんじゃないかと思いますよね。敵や味方ではなく、お互いのイデオロギーの違いだけで戦争をしている、というストーリー自体。それまでは宇宙人が攻めてきた、とか、悪ものや怪人が攻めて来る、というものだったのがいわゆる子供向けアニメという見方でこの作品に触れてみると、40年前にいきなり突発的に全く新しい種が生まれたような印象で。それをやってのけた作者をはじめとした製作陣のみなさんが本当にすごいと思う。

――その作品に関わられることになったのが“主題歌”。楽曲でどのように表現をしようとお考えになったんでしょうか。

SUGIZO 長い間、僕はガンダムに影響を受けているので、知らず知らずのうちに僕の音楽のテイストとか音楽から見える景色とか、自分が音楽を生んでそこに乗って旅をしたい感覚や、宇宙的な憧れなど、実はあらゆるところがガンダムに起因しているんですよね。自分の音楽観や音楽に対する自分の哲学の、ベーシックな部分にガンダムはかなり大きく影響を及ぼしていると認識してる。自分が気持ちのいいことを自然に表現すればそれがガンダム的になるんです。

――特に「これ」というとどんなシーンですか?

SUGIZO 本当に多くのシーンに影響を受けているんですが、特にララァの絶命のシーンから僕が受けたインスピレーションは計り知れない。僕の音楽のルーツはそこにあると言っても過言ではないです。あの光。突然トリップするサイケデリックな世界。深遠な無数の銀河。ほんの一瞬のはずなんですよ、エルメスがビーム・サーベルに刺されて、爆発するのはほんの一瞬の出来事。せいぜい数秒。その一瞬が永遠に感じられる。その永遠の中であらゆる会話があって、精神的なコミュニケーションがあって、銀河が見えて波が来て、光が見えて。音楽を使ってトリップする感覚、一瞬を永遠に感じるという感覚。ここにいるのに1億光年先に行けるような感覚は、まさにララァのあのシーンに影響を受けたもので。音楽観の重要な部分をガンダムから学んだというか、発想を植え付けていただいきました。

――『THE ORIGIN』での主題歌のプロデュースについてはどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

SUGIZO ひとつ僕が提案させていただいたのは、オープニングはLUNA SEAでやらせていただいて、男性ボーカルは全てうちのRYUICHIでやらせてください、ということ。エンディングは女性ボーカルをフィーチャーして、今僕らが一番輝いていると感じる方を起用させてください、とお話をしました。それと必ず1曲はオリジナルで1曲はカバーでということも企画を詰めながら決まっていきました。第3弾である今回はLUNA SEAがオープニングでTM NETWORKの「BEYOND THE TIME (メビウスの宇宙を越えて)」をカバーするから、エンディングをオリジナル曲にしました。

――その第3弾ではなぜコラボのお相手がmiwaさんだったのでしょうか。

SUGIZO  miwaちゃんとは「いつか一緒に曲を作れたらいいね」という話は数年前からあったんですけど、今回は「こういうことを一緒にやりたいんだけど」っていう相談をしました。ちょうどmiwaちゃんも今後どう新しいアーティスト像を作っていくか、という過渡期にある、というのを聞いていたし、そんなタイミングでご一緒できるのは嬉しかったです。

――楽曲の制作で印象的だったことを教えてください。

miwa 歌詞や歌い方の参考に、と色々なアーティストの音源をご紹介頂いたことですね。映画も色々とお薦めをしていただきました。初めて聴いたり観たりする作品ばかりだったので刺激を受けながら、歌詞でも歌い方でもチャレンジさせていただける楽曲にすごくワクワクしました。手探りではあったんですけど、レコーディングもすごく面白かったです。

――そんな『THE ORIGIN』はシャア・アズナブルを中心に物語が進行されていきますが、おふたりの考えるシャアの魅力を教えてください。

miwa 誰の敵でもないし、誰の味方でもないみたいなところがありますけど、だからこそ「どうするんだろう」っていう本心が見えづらくて目が離せないですよね。わかりやすい性格ではないからこそ目が離せないし、気になる。でもただ「わからない人」というだけではなく、妹セイラに対する想いやアムロに対する礼儀やララァに対する純粋な想いというところはすごく魅力なんじゃないかと思います。

SUGIZO 僕の場合は本当に10歳の頃からシャアが好きで、共に40年育ってきていますからね。

――そんなSUGIZOさんの見るシャアとは。

SUGIZO シャアは有能そうでいて実はすごく中途半端な存在なんですよね。彼が人生の中で最も有能だと周りから認められて優遇されたのって、恐らく一年戦争の中期まで。士官学校の時代はとても有能で、一年戦争が始まってルウムでヒーローになったけど、結局宇宙世紀0079の9月以降はアムロ・レイというすごい人材が出て来てしまう。アムロがガンダムに乗ったのって9月からで、一年戦争の最後の3か月なんだよね。9月にガンダムに乗って、12月31日に終戦するときにはもう天才的なパイロットになってる。それこそ異常発達するんだよ。でもシャアはその成長についていけない。後半は「今のわたしにはガンダムは倒せん」とか「ララァ、わたしを導いてくれ」とか情けないことを言ってる。その情けなさに、おこがましいけれど自分に重ね合わせることが出来た。アムロみたいなとんでもない天才というのはあまりにも凄すぎて自分には重ねられないけどね。結局シャアって自分の目標や目的を達成出来ないままに人生を過ごしていく。すごくIQは高いし、運動能力も高いしルックスもいい。恐らくは自分のことを完璧だと思っていたと思うんです。ただ話が進むにつれてボロが出て、どんどん情けない姿になっていく様が、僕には「ああ、カッコいいな」って思えた。

 その後『THE ORIGIN』のシャア・セイラ編で子供の頃のシャアが明らかになって、そこでこの人がなぜこれだけ屈折したかの理由がわかるんですね。これだけの体験をしていたら致し方なかったんだな、と。可哀想だな、と。今の僕にとっては情けないことよりも実はすごく可哀想だった人という印象なんです。最後まで幸福を掴めなかった。最後まで自分の目的や夢を達成できなかった、残念な人。でもそんな残念な人が僕にとってはすごく魅力的です。

――まだまだこれから拡がっていくであろう『機動戦士ガンダム』、そして『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の楽しみ方を教えてください。

miwa この作品に、私が10代の頃に出会っていたならまた印象が違っていたのかなと思いつつ、本当に深い作品だなぁ、と。その中でやはりずっと自分の中にイメージとしてあったガンダムの登場シーンもあって、そこには「すごいな!」という感動がありました。物語の中で人々が初めてガンダムを見たときの、すごくワクワクしたり、新しいものに対して感じたりするような衝撃、「ガンダムってすごいんだな」という想いが伝わってきます。ぜひ見て頂きたいです。

SUGIZO 僕は初心者に向けてならファーストガンダムの劇場版三部作を見てから、TVシリーズのファーストガンダムを見てもらうことをお薦めしています。スタッフやガンダムを知らない人には、その流れで薦めています。僕ね、レーザーディスクでも持ってるし、DVDもBlu-rayもあるから「これを見て下さい」って三部作を見せて、さらに知りたい、となったらTVシリーズ。そして『THE ORIGIN』のコミックをね。そうなると今度はミネバの成長を楽しんでもらえるようになるんですよ。『機動戦士Ζガンダム』では7歳くらいだったのが、『機動戦士ガンダムUC』ではヒロインに。そうした楽しみも含めてぜひ『機動戦士ガンダム』、そして『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に触れてもらいたいです。

■配信概要
配信日:6月25日(火)よりスタート
曲名:A Red Ray(作詞:miwa 作曲・編曲:SUGIZO)
アーティスト:SUGIZO feat. miwa
配信先:ダウンロード / ハイレゾ 各社サービス

 なお、ダウンロード開始日より【TVサイズ】も各社サブスクリプションサービスでも順次投入・公開となります。

■イベント情報
アニバーサリーイベント「GUNDAM 40th FES.”LIVE-BEYOND”」オフィシャルHP先行受け付け中

最終更新:6/25(火) 12:20
超!アニメディア

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事