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「低めに投げろ」は本当に有効か? ピッチングの定説をデータで検証

6/25(火) 11:20配信

Baseball Geeks

「低めに集める」「ピッチングの基本は低め」をはじめとするように、指導現場において「低め」は最も使われる言葉のひとつかもしれない。しかし、その多くは指導者の主観や経験に基づく言葉がけである。
低めへの投球は本当に有効なのであろうか?今回は、2018年のメジャーリーグのデータを使い、投球されたコースの高低が打者に与える影響を考えていく。

「高めは低めより飛ぶ」は本当か?

まずは打球の飛距離について。「高めは低めより飛ぶ」というイメージを持つ方も多いかもしれないが、果たして本当に飛距離は大きいのであろうか。2018年の全打球、約13万球のデータを、ホームベース到達時のボールの高さ1センチに分割し、平均打球飛距離を算出した。

これを見ると、高めになるほど飛距離が右肩上がりに大きくなっている。イメージ通り高めの方が飛距離は大きく、低めと高めのゾーンぎりぎりを比較すると、なんと約20メートルもの差が見られた。やはり定説通り低めは有効なのだろうか。続いて、さらに細かく打球の特性を見てみる。

低めを打つと打球速度は高まる?

ボールの高さ1センチ毎に平均打球速度を見ると、飛距離とは違い、ゾーンの低めあたりにピークがきている。意外にも思えるが、実は高めより低めの方が平均打球速度は速かったのだ。
これには打者のスイングの特性が関係している。投球コース別にスイング特性を調べた研究では、低めの打撃は高めの打撃よりも、有意にスイング速度が高くなることが明らかになっている(森下ほか、2016)。

低めを打撃する際にはバットヘッドを加速する時間が長くなりやすいため、スイングの速度が高まりやすい。スイング速度が高まった結果、打球速度も増大したのであろう。
では、なぜ高めのボールは飛距離が右肩上がりに大きくなっていたのか。その理由は打球角度にある。ボールの高さ1センチ毎の平均打球角度をみてみると、高めになるほど急激に打球角度が大きくなっていることが分かる。

先ほどの研究では、低めの打撃は高めの打撃よりスイング角度が有意に小さかった(=低めの打撃はダウンスイング気味になった)と報告している。つまり打球速度と角度の結果を整理すると、低めのボールは打球速度こそ高まりやすいものの、ダウンスイング気味の軌道になりやすいため、結果的に打球角度が小さいということになる。

これが、高めのボールが低めのボールより飛ぶ理由である。飛距離が大きくなると、必然的に長打が増加し長打率やOPSも高まっていく。得点との相関は、打率よりもOPSの方が高いことが分かっているため、低めへの投球は「長打を抑えて得点を減らす」意味では効果的だと言えるだろう。

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最終更新:6/25(火) 11:31
Baseball Geeks

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