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小田急多摩線の延伸構想が加速、まず相模原へ リニア新幹線開業も影響する?

6/25(火) 6:04配信

乗りものニュース

「唐木田~相模原間」で検討へ

 これは都市鉄道利便増進事業適用の目安とされる「30年」を満たさないどころか、新線整備の可否を判断する目安の「40年」も上回る数字で、課題である採算性がクリアできない、つまり事業化は困難であることが明らかになりました。

 そこで、唐木田~上溝間の一括開業ではなく、唐木田~相模原間(約5.8km)を先行して開通する「段階的整備案」もあわせて検討され、概算建設費870億円、輸送人員同5.3万人で整備効果1.3、収支採算性26年となり、こちらのケースでは条件を満たすことが確認されました。

 報告を受け、2019年4月の市長選挙で初当選を果たしたばかりの本村賢太郎相模原市長は、唐木田~相模原間の先行整備を軸に検討を進めたいと表明しました。これは事実上、相模原~上溝間の整備断念を意味していると言えるでしょう。

 多摩線延伸構想が加速した背景には、2014(平成26)年、JR相模原駅の北側に位置する在日アメリカ軍の補給施設「相模総合補給廠」の一部が返還され、駅と線路の導入区間が確保されるとともに、跡地の再開発計画が具体化したことが挙げられます。

 相模原市は跡地にMeeting(企業等の会議)、Incentive Travel(企業等の研修旅行)、Convention(国際機関・団体、学会等が行う国際会議)、Exhibition/Event(展示会・見本市、イベント)用途など「MICE」需要を見込んだコンベンション施設を整備し、あわせて市役所や市民会館、産業会館などの交流機能を全面移転する計画を検討しています。再開発計画は多摩線延伸を前提として進められており、多摩線延伸の需要予測も再開発計画の順調な進展が前提であることから、実現性を優先した形です。

リニア新駅開業の影響は

 さらに相模原市には2027年開業予定のリニア中央新幹線という、もうひとつの「大型再開発案件」が控えています。橋本駅南口の神奈川県立相原高校を移転して確保した用地の地下にリニア新駅を設置し、京王線駅舎をJR横浜線とリニアの乗り換え動線上に移転する具体的な検討が進んでいます。

 地上は「交流拠点」として再開発し、駅前広場・イベントスペースなど地域の情報発信拠点となる「広域交流ゾーン」、オフィスや商業店舗など事業活動の拠点となる「複合都市機能ゾーン」、人材・情報の交流拠点となる「ものづくり産業交流ゾーン」を設置する計画です。

 相模原駅から橋本駅までは約3km。これだけ近いエリアで同時に大規模な再開発が行われるのは異例ですが、相模原市の計画では、相模原駅周辺地区はMICE機能と行政・防災機能が集積する中枢業務拠点として、橋本駅周辺地区は在住者・勤務者・来訪者が交流できるゲートとして位置付け、相互に魅力を高め合うことで一体的な広域交流拠点を形成するとしています

 ただ、そのためには新たな道路整備やJR横浜線の立体交差化なども必要になる見込みで、事業の規模はさらに拡大していきます。二重投資になって効果が分散しないか、同時並行的に開発を進められるのか、相模原市のプロジェクトのかじ取りが小田急多摩線延伸の可否を左右することになりそうです。

枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

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最終更新:6/28(金) 14:35
乗りものニュース

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