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玄関までつながる公共交通―サブスのとりくみ―

6/25(火) 19:45配信

サイエンスポータル

 いまある公共交通を高度にネットワーク化すれば、マイカーに頼る必要のない次世代の交通網をつくれるのではないか――。タクシーを使って安く便利に利用者を戸口から戸口まで運ぶ新しい公共交通をつくりだす取り組み「スマート・アクセス・ビークル・サービス(SAVS:サブス)」が、全国に広がりつつある。交通網からこぼれやすい「最寄り駅から自宅まで」のような最後の一息、すなわち「ラストマイル」を低速の自動運転車でサポートする試みについては、今年5月に「暮らしにフィットする新しい自動運転のかたち」で紹介した。こちらのサブスは、「乗り合いタクシー」の発想をもとに現在のタクシーを発展させた北海道・函館発祥の新システム。乗り合いタクシーの習慣がない日本では受け入れのハードルも高いが、高齢者が運転するマイカーによる交通事故の頻発で新しい移動手段へのニーズも高まるなかで注目を集めている。

バスより便利でタクシーより安い

 「函館に来て20年になりますが、人口減少を背景に、路線バスの本数は減り続けています」。そう話すのは、公立はこだて未来大学教授で、同大学発のベンチャー「未来シェア」の代表取締役を務める松原仁さん。サブスプロジェクトのキーパーソンのひとりだ。

 函館市の主な公共交通は市電と路線バスだ。松原さんは特にバスを心配している。「人が少ないから、バス会社はたくさんのバスを出したがらない。バスの本数をひかえると、不便なのでますます乗らない。負のスパイラルです」。この地でマイカーを持たず、公共交通一筋の松原さんが見る現状は深刻だ。もちろん函館にはタクシーもあるが、日常的に使うには費用がかさむ。

 そこで松原さんは、新しい公共交通のかたちとしてサブスの構想を描いた。すでにあるタクシーを、「乗り合いタクシー」としてコンピューターで集中制御するのだ。その基本理念は「バスより便利でタクシーより安い」。ぜいたく感のあるタクシーを、ごくふつうの公共交通機関として利用する試みだ。

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最終更新:6/25(火) 19:45
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