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玄関までつながる公共交通―サブスのとりくみ―

6/25(火) 19:45配信

サイエンスポータル

 サブスは、こんなイメージだ。スマホから乗車リクエストを送ると、乗り合いタクシーが数分でやってきて、同じ方向に向かう乗客を拾いながら、最短ルートで全員を目的地まで届けてくれる――。バスより早いし、ひとりでタクシーを使うより安い。蛇口をひねれば水がでるように、スイッチひとつで電気がつくように、タクシーによる移動サービスもインフラ化し、本当に便利で安価な「公共交通」を目指す。

サブスは実現できる、シミュレーションが予測

 きまったダイヤで運行される電車やバスなどの公共交通機関の時刻に自分の都合を合わせるのではなく、利用者が使いたいときに要求(デマンド)して使う交通機関。この「デマンド交通」が函館のような地方都市で実現可能であることを、プロジェクトチームは2000年代初頭に確信していた。世界でみてもかなり早い。確信の根拠は、まだ見ぬ未来の事象や現象を検証する「マルチエージェント社会シミュレーション(MASS)」だ。そもそもシミュレーションとは、実世界で実験ができないときにコンピューターなどで行う模擬実験をいう。そのうちでもMASSは、特に人や組織の動きの予測が得意なシミュレーション技術で、高速道路の渋滞予測や災害時の避難方法の検討など、社会課題の解決に広く活用されている。

 MASSによると、函館市の中心部13キロメートル×10キロメートルのエリアでは、路線バスの10%を乗り合いタクシーに置き換えると人の移動時間が短縮され始め、その効果が最大になるのは、路線バスの60%を置き換えたとき。すべてを乗り合いタクシーにしてしまうのではなく、大勢が集中的に移動する幹線はバスで、少数がまばらに移動する住宅地を乗り合いタクシーで。まさにバスとタクシーのいいとこ取りだ。

社会実装のハードルは高かった

 プロジェクトは、サブスを研究レベルから実用化の段階に移すため、ベンチャーの「未来シェア」を立ち上げた。乗り合いを希望する利用者の組み合わせや最適ルートの探索などの技術を確立し、何度も実証実験を行い準備してきた。技術的にはいつでもスタートできる状態だ。しかし、函館での実現は見えていない。「市の考え方ひとつで、今日にでも動けるのですが…」と松原さんはいう。

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最終更新:6/25(火) 19:45
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