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玄関までつながる公共交通―サブスのとりくみ―

6/25(火) 19:45配信

サイエンスポータル

 つまりこうだ。いま世界には、マイカーを持つ個人などをネットワークで結び、スマホから呼び出してタクシーとして使う「ウーバー」というしくみがある。日本のタクシー業界は、ウーバーのような新たなしくみが業界に与える影響、いわゆるウーバライゼーションに懸念を抱いている。素人のドライバーが参入してくることになるウーバーは、たしかに本国アメリカではタクシー業界に大きな衝撃を与えた。函館の一部のタクシー会社は、サブスがウーバーの仲間ではないかと警戒しているのだ。タクシー会社を守る立場でもある市は、サブスにゴーサインは出せない。

 松原さんの主張はこうだ。「ウーバーは、基本的には個人事業主に働きかけています。我々のサブスは、すでにあるタクシー会社やバス会社に働きかけ、地域全体への利益を目指すもの。個々のドライバーがもうけるしくみではありません」。相互理解が最大の難所だ。

ニーズは少なくない

 一方で、全国の自治体から「サブスを取り入れたい」とラブコールが絶えないのも事実だ。たとえば愛知県長久手市 。地元のタクシー会社の協力を得て、高齢者と障がい者を対象としたワンコインサブス(500円)の実証実験が好評で、今年中の営業開始を目指している。群馬県前橋市 も積極的な自治体のひとつ。高齢ドライバーによる交通死亡事故を受け、高齢者が運転しなくても生活できる地域社会の実現に向け、サブスを取り入れようとしている。

 自治体ではないが、2017年にはサブスのシステムを導入した乗り合いタクシーが深夜や早朝の中部空港と名古屋市内を結んだ。地元のつばめタクシー(名古屋)が運営する。今年4月には九州大学で「AI運行バス」 が福岡市内にあるキャンパス内で始動し話題になった。これもサブスのシステムを利用している。運営するNTTドコモは、2020年までに全国100か所に展開するとしている。

 現在、全国数十か所からサブスの導入を検討する話があるそうだ。日本では乗り合いタクシーは原則禁止だが、路線バスなどの利用が困難なケースでは、国土交通大臣の許可を得れば地域や期間を限定して認められる。実際に過疎地や高齢者を対象にした適用例がある。松原さんによれば、「地元の市長や交通協議会、つまりタクシー会社やバス会社がOKしてくれれば、合法的に実現できます」とのこと。政府は2019年度中にタクシーの乗り合いを認める方向でもある。

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最終更新:6/25(火) 19:45
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