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【おもちゃ王の思い】人生に「老後」はない(6月26日)

6/26(水) 9:23配信

福島民報

 玩具メーカー、タカラ(現タカラトミー)創業者の佐藤安太氏=いわき市出身=の旅立ちを祝う会が六月上旬、東京で開かれた。「リカちゃん」人形などをヒットさせ、今年二月に九十四歳で他界した。「人生に『老後』はない。人生があるだけ」。いつも前向きな気持ちで、成長し続けることの大切さを訴えた「おもちゃの王様」からのメッセージは、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興に向かう県民への力強いエールとなる。

 いわき市三和町に生まれ、旧制磐城中(現磐城高)、旧制米沢工業専門学校(現山形大工学部)を卒業した。一九五三(昭和二十八)年にタカラの前身である佐藤加工所を設立し、一九六〇年に発売した「ダッコちゃん」は大きなブームとなった。その後、タカラに社名を変更し、「リカちゃん」人形や「人生ゲーム」、「チョロQ」などの人気商品を世に送り出した。

 ふるさとへの愛着は強く、小野町に「リカちゃんキャッスル」を開館した。古希を過ぎてからも県内を訪れては講演などで人生論を語った。県しゃくなげ大使、いわき応援大使を務め、本県の魅力発信に貢献した。県外在住功労者知事表彰を受けている。

 東京都内のホテルで開かれた「旅立ちを祝う会」には各界から約千二百人が参列した。知人らが思い出を披露し、皆が語ったのは佐藤氏の目標に向かう姿勢だった。仕事はもちろん、ゴルフなどの趣味でも探究心を忘れず、失敗しても挑戦し続けた。

 「人生は仕事がすべてではありません。お金がすべてでもありません。成長し続け、究極の目標に向かっていくのが人生です」「失敗からは学び、成功は育てる。それがいくつかの大きな成功に結びついた」「最高の理想は、小さな理想の実現を積み重ねることによってのみ到達できる」。会場で佐藤氏のメッセージが紹介された。取材で佐藤氏にインタビューしたことがあり、献花台に飾られた穏やかな表情の遺影からは、ものづくりと人づくりへの熱い思いが聞こえてくるような気がした。

 遺族はあえて「旅立ちを祝う会」と名付けた。「父はどこまでも前向きな男でした。皆さんが未来に向けて生きる力を感じていただければ父も喜ぶでしょう」。三男で日本玩具文化財団理事長の豊彦さんが謝辞で語った。おもちゃを通し、夢と希望を与えてくれた佐藤氏の思いを伝えることは、目標に向かって活躍できる人材の育成につながっていく。(真田裕久)

最終更新:6/26(水) 9:23
福島民報

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