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35歳で食道がん、死への恐怖と戦う先に見えた灯火

6/26(水) 11:07配信

DANRO

35歳の時に食道がんと告知された立山雄一郎さん(39歳・独身)は、手術はうまくいったものの、ずっと再発や死の恐怖と闘っています。食道がんの5年生存率は早期発見できた場合75%以上ですが、進行して転移が認められた場合は予後が良くないと言われているのです。職場復帰した立山さんの気持ちを支えるのは、ある出会いでした。(渡辺陽)

食道がんを告知され、思考が吹き飛ぶ

神奈川県に住む立山さんは、就労相談員として働いていましたが、35歳の時に重度の食道がんと告知されました。告知される1年ほど前に胸に激しい痛みを感じ、胃のあたりからこみ上げてくる強い異臭を感じたため、クリニックを受診したのですが、「若いから大丈夫、臭いは胃からは上がってこない。気にしすぎですよ」と言われました。

1年後、食べたり飲んだりすると喉につかえるような感じがして、立山さんは大学病院を受診しました。レントゲンに映った腫瘍は、まるで食道をふさぐ蛇の頭のように見えたそうです。

「食道がんは、初期症状があまりなく、飲食をした時に少ししみるように感じることがありますが、気づかないうちに進行していることもよくあります。食べているものがひっかかり出したら3カ月以内に水も喉を通らなくなります」(食道がんに詳しい近畿大学医学部上部消化管部門主任教授・安田卓司さん)

ステージIVの食道がんと告知された立山さん。「その瞬間、思考が上空に吹き飛ばされるような感覚に陥りました。幽体離脱して、自分だけが世界からポツンと取り残されてひとりになった感じでした」

あえて希望を持たないようにした

立山さんは故郷の広島県に帰って、術前に放射線治療と抗がん剤治療を1クール(3カ月間)受けましたが、その間、心中穏やかではなかったそうです。

「難しい手術だと聞いていましたし、肺への転移が認められたら切除せず、そのまま閉肺することになっていました。死ぬ決心をして、生きることをあきらめようと、何度も何度も上塗りするように自分に言い聞かせました」

立山さんは「防衛策として希望を持たないようにしていました」とも言います。

「そうでないと絶望に耐えられないと思ったのです。でも、検査のたびに、『実は悪性ではなかった』と誰かが言ってくれないかという希望がじわじわ広がっていくんです。その希望を打ち消したかったのですが、母も奇跡を願っていたので、それが重荷でした」

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最終更新:6/26(水) 11:07
DANRO

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