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【裁判員制度10年(1)】遺体写真「配慮」の加工 負担軽減へ絞られる証拠

6/26(水) 10:54配信

西日本新聞

 刑事裁判に市民の視点を取り入れる「裁判員制度」が導入されて5月で10年が経過した。裁判員に選ばれた人々は殺人などの重大事件に向き合い、悩み抜いて有罪・無罪を判断してきた。制度の導入後、裁判所は裁判員にストレスを与える遺体の写真などの「刺激証拠」に慎重になり、代わりにイラストを採用するケースもある。また裁判員の「負担軽減」のため、公判前に証拠を絞る手続きも。この10年で浮かんだ懸念や、今後の課題とは。

【グラフ】公判前整理手続きの平均期間の推移

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 裁判員に配られた遺体の写真は顔や傷痕がイラストに置き換えられていた-。

 福岡市で女子予備校生=当時(19)=が刺殺された殺人事件。福岡地裁で2017年に裁判員を務めた女性(51)は、加工された写真に違和感を覚えた。

 「悲惨な写真だからといって、実物を見ないで公正な裁判ができるの」。代用されたイラストは、被告の元少年=事件当時(19)=の殺意を示す重要証拠だった。

 初公判から判決まで約3週間、元少年と向き合った。反省しているのか、どう償うのか、更生の可能性は…。被害者の両親や兄の意見陳述にも耳を傾けたが、ふと、被害者のことが頭から離れる瞬間があった。

 女性を含む裁判員6人と裁判官3人が導いた判決は懲役20年(求刑懲役22年)。検察、被告側ともに控訴せず確定した。

 刑事裁判は、同一の証拠に基づいて裁くことが大前提。そのことを踏まえた上で、女性は「裁判員にもさまざまな感覚がある。写真かイラストか、選べるようにしてほしい」と思う。

「証拠に対する配慮をお願いします」

 転機となったのは、13年に裁判員経験者が起こしたある裁判だ。

 強盗殺人事件で裁判員を担当した女性が、遺体の写真を見て急性ストレス障害になったとして、損害賠償を求めて国を提訴。福島地裁判決は、裁判員制度は合憲とする一方、「裁判員を務めたこととストレス障害発症には因果関係がある」との判断を示した。

 この判決以降、裁判所は遺体の写真など「刺激証拠」の採用に慎重になる。

 「証拠に対する配慮をお願いします」。名古屋市内で80代夫婦が殺害された強盗殺人事件。名古屋地裁の裁判長は、争点を整理する公判前整理手続きで、検察官にこう求めたという。

 弁護人の二宮広治弁護士に示された遺体の写真は傷痕が緑や青色に塗られていた。この写真を証拠採用した裁判員判決は今年3月、強盗殺人罪を否定、殺人と窃盗罪を認定し、被告の男を無期懲役(求刑死刑)とした。

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最終更新:6/26(水) 12:46
西日本新聞

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