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「カルピス」に学ぶブランド磨き アサヒ飲料 岸上克彦社長が語る

6/26(水) 7:43配信

食品新聞

「カルピス」生みの親・三島海雲  “国利民福”と“天行健”を提唱

 「カルピス」の生みの親である三島海雲が唱えた「カルピス」が持つこの4つの基本価値(おいしいこと・滋養になること・安心感のあること・経済的であること)に立ち戻ってコミュニケーションを刷新した結果、「カルピス」ブランドは08年以降右肩上がりで拡大している。

 アサヒ飲料の岸上克彦社長は「三島海雲が唱えた『カルピス』の基本価値をもう一度見直し、その時代にあった形でお客様にきちんと訴求し続けてきたことが現在につながる成長の源泉になっている」と胸を張る。

 2000年からの「カルピス」ブランド低迷期を脱したこの時の経験が、岸上社長のブランド観を現在のものへと肉付けしていく。

 アサヒ飲料では現在、“ブランドを磨き、ブランドで挑む”の指針の下、「三ツ矢サイダー」「十六茶」「ウィルキンソン」といった「カルピス」以外の主要ブランドでも基本価値を突き詰めている。

 そのポイントについて「不易流行という言葉が当てはまると思うが、時代に迎合して基本価値を崩すようなことをしてはダメで、何も変わらずに長く続けているのもダメ。変えてはいけない基本価値と、その時代に合わせた変化の両面がブランドにとって物凄く大事なこと」と説明する。

 三島海雲は、岸上社長が旧カルピス社に入社する1年半前の1974年12月に死去した。
 「実際に薫陶を受けたことはないが、社内は三島海雲イズムが徹底されていた。私も当然、三島海雲のことを調べてから入社試験に臨んだため私淑している者の一人だった」という。

 経営者として三島海雲から学ぶべきこととして、岸上社長は沢山あるものの中から “国利民福”と“天行健”の2つを挙げる。
 国利民福とは、三島海雲の人生観である“国利民福のために尽くさずしてなにものもなし”という私欲を忘れて公益に資する考え方で、関東大震災では、金庫のあり金を全て拠出して「カルピス」の原液を水と氷で薄めて配りまわった。

 1963年から現在まで続いている「カルピス」ひなまつりプレゼントも国利民福の考えによるもの。次世代を担う子どもたちの成長を願い、ひなまつりのお祝いで飲まれる白酒に代わるものとして、毎年、全国の幼稚園と保育園で「カルピス」を無償提供している。

 1962年には、広野に撒かれた一粒の麦になりたいとの思いから全私財を投じて三島海雲記念財団を設立。同財団では毎年、自然科学と人文科学の研究助成を実施している。

 「現在、アサヒ飲料が財務的価値と社会的価値を軸とした企業成長に取り組んでいるのは、三島海雲の教えではないのだが、どこかで三島海雲の考えにつながっているのかもしれない。アサヒ飲料も自社の利益のためだけに動いているということは全くないのだが、私は経営者として三島海雲の思いをもっと見習わないといけないし、もっと強く出していきたい」と述べる。

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最終更新:6/26(水) 8:13
食品新聞

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