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なぜ安倍首相は衆参同日選を見送ったのか?

6/26(水) 18:10配信

THE PAGE

 安倍首相が衆参同日選の実施を見送りました。一部では衆参同日選を強く望む声がありましたが、安倍政権はなぜ同日選を見送ったのでしょうか。

衆参同日選は「ハイリスクハイリターン」 過去2回は自民党が大勝

 戦後の日本政治において、衆参同日選が実施されたのはわずか2回しかありません。最大の理由は、同日選が抱えるリスクの大きさです。衆議院と参議院が同時に選挙を行えば、大勝する可能性が出てくる反面、万が一、敗北した場合の影響は致命的です。よほどタイミングがよくなければ衆参同日選に打って出るメリットはありません。

 前回、実施された衆参同日選は1986年、中曽根首相による「死んだふり解散」です。当時の選挙情勢は良好でしたが、衆議院の定数是正問題があり、解散は困難と思われていました。中曽根氏は解散を断念したと思わせ、突如、解散に踏み切ったことから「死んだふり解散」と呼ばれています。選挙の結果は自民党が300議席以上を獲得する圧勝となりました。

 この同日選が成功したポイントとしては、もともと選挙情勢が良かったことに加え、党内基盤が弱く、首相個人の支持率に依存している中曽根氏としては、圧倒的な権力基盤が欲しいという強い政治的動機があったという点でしょう。つまり、中曽根氏にとっては賭ける価値のあった選挙ということになります。

 もうひとつの同日選は、1980年に行われた大平内閣による「ハプニング解散」ですが、これは名前の通り、自民党内の派閥争いによって結果的に同日選になってしまったケースです。1980年5月、野党が大平内閣の不信任案を提出しましたが、通常であれば、与党自民党の反対票で否決されるはずでした。ところが、自民党内の派閥争いがひどい状況となっており、安倍首相の出身母体でもある清和会を中心とした党内非主流派が嫌がらせで本会議を欠席。これによって不信任案が可決されてしまい、想定外の衆参同日選となってしまいました。

 これは与党も野党も望まない最悪の解散でしたが、選挙中に大平氏が心労の大きさから心不全で急逝するという事態が発生。自民は大量の同情票を集め大勝を収めました。これはまさに想定外の選挙ですから、あまり参考になるケースではありません。

リスクのある同日選よりも現勢力の維持と判断か

 現在の安倍政権は、衆院で283議席(公明は29議席)、参院では123議席(公明は25議席)を確保しており、圧倒的な勢力です。一方で、消費増税や年金の問題など、選挙の地合いは必ずしも良好ではありません。これだけの議席を確保していれば、ムチャはせず、この権力を維持した方が圧倒的にメリットがあるというのが、権力の街である永田町の常識です。安倍首相個人は、政権の支持者が期待するほど同日選にはメリットを感じていなかった可能性が高いでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:6/26(水) 18:10
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