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日本とキャッシュレス先進国の違い

6/27(木) 16:00配信

アスキー

キャッシュレス先進国として知られるオランダ。支払いはデビットカード(PINカード)が主流で、1セントや2セントなどの小額通貨が使えない店もある。

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夏のアムステルダム。郊外のアムステルフェーンに滞在した 筆者撮影
 
 6月中旬より、欧州に来ています。1年の中で最も旅行に適したシーズンでもあり、どこに行っても観光客だらけです。
 
 まずはオランダのアムステルダムに滞在しました。キャッシュレス先進国としても知られるオランダですが、日本と比べてどう違うのでしょうか。
 
■交通系ICカードでサクサク移動
 アムステルダムの空港に着いて、鉄道やバスで移動を始めるときに便利なのが、ICカードの「OVチップカード(OV-Chipkaart)」です。オランダ鉄道やメトロ、トラム、バスなどオランダ全土の交通機関で利用されています。
 
 他の国では、ロンドン交通局が発行するオイスターカード(Oyster Card)のように都市ごとにICカードが分かれていることが多いのですが、オランダではデンマークのライセコート(Rejsekort)のように全国で同じICカードが使えます。
 
 ただ、旅行者が使うには難点もあります。カード自体はSuicaと同じように券売機で買えますが、カード自体の価格である7.5ユーロに加え、オランダ鉄道に乗るためには20ユーロ、トラムやバスでは4ユーロの最低残高が必要です。
 
 交通機関に乗るときに最低残高が差し引かれ、降りるときに運賃が精算され、カードに戻される仕組みです。改札のない鉄道駅やバスなどでチェックアウトの操作を忘れると残高が戻ってこないのは、不慣れな旅行者に厳しい仕様です。
 
 最低残高をクリアするため多めにチャージしておき、不要な残高は帰国前に返金してもらう手もありますが、残高が30ユーロ以上あると欧州の銀行口座への振込による返金となるのが厄介なところです。
 
 また、カード自体の有効期限は5年間で、筆者が2013年に買ったカードは期限切れで使えません。この場合も窓口での返金はできず、返金を受けるには欧州の銀行口座が必要になります。
 
■デビットカードのない旅行者はどうする?
 オランダは決済も一風変わっています。観光客の多いホテルや空港ではクレジットカードが使えるものの、市中ではデビットカードが普及しており、「PINカード」の名称で知られています。
 
 ここでいうデビットカードは、欧州で使われているMastercardの「マエストロ(Maestro)」やVISAの「ブイ ペイ(V PAY)」のロゴが付いたもので、日本のデビットカードとも異なります。
 
 大手スーパーのアルバート・ハイン(Albert Heijn)の場合、アムステルダム空港など一部の店舗を除き、クレジットカードは使えません。欧州では銀行口座を開くときにデビットカードが付いてくることが多く、欧州の居住者であれば不便に感じることはないでしょう。
 
 ほかにもこのチェーンでは、銀行口座と紐付けた専用カードを商品の値札にあてるだけで買い物ができる実験店を出すなど、キャッシュレスに取り組んでいます。
 
 一方、欧州のデビットカードを持たない外国人は現金に頼るしかなくなりつつあります。こうした状況を踏まえ、キャッシュレス手段を持たない人が排除されることへの懸念が、オランダでも持ち上がっているようです。
 
■1円にこだわるのをやめよう
 現金にも面白い仕組みがあります。オランダの通貨はユーロですが、5セント未満の端数を丸めるラウンディングを導入しています。
 
 具体的には、1セントと2セントの硬貨はオランダでは利用できず、最低単位は5セントになります。オランダのお店のレジで1セントや2セント硬貨を出そうとすると、たいていは受け取りを拒否されるようです。
 
 おつりの扱いも同様です。たとえば22.24ユーロの買い物に25ユーロを出した場合、単純計算では2.96ユーロのお釣りが発生しますが、もっとも近い5セント単位に丸められ、実際のおつりは2.95ユーロになります。
 
 日本的な感覚では、小数点以下の端数を丸めることに違和感はないものの、「1円を笑う者は1円に泣く」と言われるように1円以上のお金を捨てるのは抵抗をおぼえる人も多いでしょう。
 
 欧州では「1セントや2セントの取り扱いはコスト的に割に合わない」と判断する国が出てきており、オランダでは2004年から導入しています。キャッシュレスの導入により現金を扱う手間を減らすのと同時に、現金自体を扱いやすくする興味深い試みといえます。
 
文● 山口健太

最終更新:6/27(木) 16:00
アスキー

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