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3000億円の価値があるのか? トヨタが作った日本版ニュルを見て思うこと

6/27(木) 11:37配信

carview!

それは総工費3000億円とも言われる超大型プロジェクト

愛知に日本版ニュルが! とネットで話題の新テストコース「トヨタテクニカルセンター下山」に行ってまいりました。総敷地面積650万平方メートル、総工費3000億円とも言われる超大型プロジェクトで、かつてない超本格的テストコースがトヨタ本社研究所から30分以内の場所にできたというのが最大のミソ。

>>トヨタテクニカルセンター下山 フォト集<<

日頃の研究開発の中で、試作車の走りをトコトン確かめることができる。言わば勉強部屋の隣に、本格的なテストルーム&筋トレルームができたイメージでしょうか。もたらすプラス効果は簡単には言い表せませんが、今まで狭い研究所のテストコース、もしくは遠い静岡や北海道のテストコースでしか試せなかった本格的な味見を近くでできるようになったのです。

具体的に試作車のテストと言っても、普通の道ではせいぜい数10km/h以下での急制動や急加速ぐらいしか試せません。あるいはデコボコ道の乗り心地など。しかし現実にはクルマはさまざまな天候下でさまざまな路面の上を走り、ときに100km/h以上での複合コーナリングやダブルレーンチェンジ、急制動、視界の悪いところでの急操作などいろいろ試されるわけです。

英語のスキルに例えるなら、中学高校でいくら文法を学び、英単語を覚え、日本人英語教師と話しても実際に海外で使えるのかわかりません。やはり人種のるつぼニューヨーク、あるいは多ヶ国語が使われる欧州やASEANで使ってみないと。テクニカルセンター下山はいわばそういった「本当に使えるクルマの性能」を素早く確かめるために存在するのです。

※2019年6月27日。記事中に編集側の作業による(執筆者ではなく)誤りがございました。お詫びして修正致します。
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「…普通の道ではせいぜい10km/h以下での…」→「普通の道ではせいぜい数10km/h以下での…」
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トップドライバーなら完全にクルマがジャンプしてしまう場所も

その目玉が「日本版ニュル」とも言われる全長5.3kmの第3周回路。世界で最も過酷と言われるドイツのサーキット「ニュルブルクリンク」を模したもので、ここでいかに厳しく、実践的なテストができるかが問題です。

実際に小沢も新型「スープラ」で走ってみましたが、まず驚いたのは大小複雑でクネクネなコーナーの曲がりっぷり。左に行ったかと思ったらすぐ右に曲がるS字コーナーや、30Rの低速ヘアピンコーナー、300Rの高速コーナーも存在します。

圧巻はアップダウン度で、今までのテストコースではあり得なかった急勾配の登り道と下り道があります。トップドライバーなら完全にクルマがジャンプしてしまう場所もあり、ここでかかる上下G(加速度)は「ニュルと変わらないレベル」と実験ドライバーは言います。オーバースピードで飛び出した時のエスケープゾーンの道も現実の高速道さながら。リアルに恐怖が迫って来ます。

もちろんまったくニュルと同じかというと路面の荒さやデコボコ感、長距離度では敵いません。高低差やスケールは過酷なニュルブルクリンク北コースのざっくり4分の1。しかし日本のクルマ作りとしては物凄い進化なのです。

というのも、日本ではルール上一部を除いて時速100km以上で走っていけないことになっています。警察に言わせれば「200km/hでのコーナリング性能? 使わないでしょ?」となるでしょうし、近所を軽自動車でしか走らない奥様方にも「そんな性能いらないし、3000億円かけるんだったらその分安くしてよ」と言う人までいるかもしれません。

しかし、それはあまりに視野が狭い。日本はドイツほど高速で走れる場所はありませんが、一部走っている人が現実にいるのと、悪天候での走行、例えば雪になれば路面は滑りやすくなり、ハイスピード走行と同程度のリスクを背負うことになります。

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最終更新:6/27(木) 20:55
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