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【裁判員制度10年(2)】「痛烈なメッセージ」求刑上回る判決も 量刑相場に市民感覚、判決に幅

6/27(木) 10:01配信

西日本新聞

「納得できない」裁判長に訴えた女性

 「納得できない。市民の声を反映させるという制度の意義を感じなかった」。福岡県豊前市で女児=当時(10)=が殺害された事件の裁判員裁判。福岡地裁で16年に裁判員を担った女性(31)は判決後、裁判長にこう訴えた。

 自身にも幼い娘がいた。審理を重ねるたびに胸が締め付けられ、同じような被害者を出したくないという思いが募った。

 評議の場で、裁判官は類似事件の量刑傾向を提示。「求刑超えの判決は高裁で覆ることが多い」とも話したという。その後、全員が目を閉じた。裁判官が読み上げる量刑に、それぞれが手を挙げた。死刑求刑に対し、結論は無期懲役だった(最高裁で確定)。

 「過去の傾向に基づいた判断を、と迫られているようだった」。女性は市民感覚が生かされたとは、今も思えない。

殺人罪の起訴率は4割減

 検察統計によると、裁判員制度が始まった09年以降、殺人罪(未遂を含む)の起訴率は4割減った。裁判員は直接証拠を重視する傾向にあり、検察側が殺意を認める供述がない事件の起訴に慎重になっていることが一因とみられる。手堅く起訴すれば、上がるはずの有罪率もわずかに下がった。刑事司法に詳しい弁護士は「疑わしきは被告人の利益にという刑事裁判の原則が、市民参加で一定程度実現されてきた」と指摘する。 

 統計では、殺人罪(同)の起訴率(検察官が起訴か不起訴かを決めた人のうち起訴した人の割合)は制度開始前の06年は56・8%。制度が始まった09年は48・4%、17年は28・2%に減った。これには、殺人容疑で送検され、傷害致死罪で起訴するなど罪名が起訴時に軽くなる「罪名落ち」は含まれない。

 成城大の指宿信教授(刑事訴訟法)は「裁判員は直接証明できる証拠を重視し、推論に対しては慎重な傾向にある。制度開始以降、起訴猶予になるケースが増えている」と分析する。

 千葉県で16年に男女3人が包丁で襲われた通り魔事件で、千葉地検は殺人未遂容疑で逮捕された女を「殺意を認める証拠がない」として傷害罪で起訴した。

 事件を担当した日弁連刑事弁護センター副委員長の菅野亮弁護士は「裁判員前なら殺人未遂罪で起訴された事件だった」と話す。裁判員事件を約50件担当し、うち2割は、不起訴処分や罪名落ちだったという。

 裁判員制度が始まり、検察側は慎重になっているのか。法務省刑事局長は15年の衆院法務委員会で「(起訴率の)低下傾向は裁判員制度前から始まり、制度と連動しているとは言いがたい」と述べた。

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最終更新:6/27(木) 13:50
西日本新聞

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