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会社を2カ月休んで北極へ 25歳の営業マン「雪のなかで自分と向き合った」

6/29(土) 8:20配信

DANRO

入社3年目の会社員が2カ月間仕事を休み、北極圏へ――。なかなか考えられないことですが、東京都で働く西郷琢也さん(25歳)は、それを成し遂げました。今年3月25日~5月11日のあいだ、冒険家・荻田泰永さん(41歳)が主催する「北極圏を目指す冒険ウォーク2019」に参加し、12人のメンバーとともに、カナダ・バフィン島の雪原世界で600キロを踏破したのです。ごく普通の会社員がなぜ北極へ行くことになったのか、話を聞きました。(西谷格)

【画像】北極圏で阿波踊りを披露する西郷さん

「連れて行ってください」と冒険家にメモを手渡し

きっかけは、西郷さんが働く大塚倉庫が昨年4月、荻田さんを招いて社内で講演会を開いたことでした。大塚倉庫は「ポカリスエット」や「カロリーメイト」などで知られる大塚グループの事業会社のひとつで、物流事業を柱としています。講演会は、社員たちの見識を広めるねらいで実施されました。

荻田さんは昨年、南極点に無補給単独歩行で到達し、その功績等により植村直己冒険賞を受賞。テレビ番組『クレイジージャーニー』(TBS)に出演するなど、冒険家として活躍しています。

講演で荻田さんは自身の経験などを語り、「来年は若者を連れて北極に行こうと思っている」と話しました。そのとき西郷さんは「何かハッとするものを感じた」といい、講演会が終わったタイミングでA4用紙に「(一緒に)連れて行ってください」とメッセージを書き、氏名、連絡先を記して荻田さんに手渡したそうです。

荻田さん自身、22歳の時に冒険家・大場満郎さん(66歳)が主催した「北磁極をめざす冒険ウォーク2000」に参加し、北極圏を踏破しています。極地冒険の歴史を次世代につなぎたいとの思いから、今度は自分が若者たちを連れて、北極圏を冒険しようと企画しました。

北極に行こうと思い立った理由について、西郷さんはこう語ります。

「営業マンとしての仕事で成績が伸びず、思い悩んでいたら、上司から『非日常に身を置いて、自分を見つめ直してみてはどうか。きっと自分自身に何が足りないか気がつくはず』とアドバイスされたんです。『冒険ウォーク』の話を聞いたときは『これだ!』と思いました」

それでも、明確な理由は今でもはっきりしないようです。

「仕事で行き詰まっていたから、何か環境を変えたかったのかもしれない。現実から逃げたい気持ちもあったのかな。でも、とにかく行きたいと思ったんです」

何かにチャレンジする時、その理由を明確に言葉にできる人は、むしろ少ないのかもしれません。世の中の冒険家たちの多くも、自身が冒険する理由についてうまく答えられない人が多いようです。

「冒険ウォーク2019」には20代の男女12人が参加しましたが、なかには会社から休暇の許可が下りなかったため、仕事を辞めて参加した人もいます。

「はじめは(自分も)『会社辞めなあかんやろな』と思っていたので、なかなか決心が付かなかったんですが、思い切って上司に相談したら『行って来い。仕事のことは気にするな』と後押ししてくれたんです」(西郷さん)

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最終更新:6/29(土) 8:20
DANRO

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