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史上初、水素の金属化に成功? 今度こそ本当っぽい

6/29(土) 12:40配信

ギズモード・ジャパン

物理界のはぐれメタル捕獲で、人類の経験値が爆上がりするかも。

80年以上前、物理学者のユージン・ウィグナーが、水素に特定の温度と圧力をかけると金属になりうる、と予測しました。水素って目に見えない気体のイメージですが、それが金属になるっていうコンセプトがメタルスライムっぽくていいですね。その後数々の研究者が金属水素の生成に挑戦してきたのに誰も見つけられてないっていう意味では、はぐれメタルといったほうがいいかもしれません。

【画像】史上初、水素の金属化に成功? 今度こそ本当っぽい

が、ついに今、ある研究チームがそれに成功した…のかもしれません。フランス原子力庁のPaul Loubeyre氏を中心とする研究チームが、液体水素に地球の核内部以上の圧力をかけた実験結果についての論文をarXivにポストしました。Loubeyre氏らは、液体水素に今までにない高い圧力を与えることで、金属のような性質を呈したと言っています。

ただこれまでにも、たとえば2017年にハーバード大学の研究チームが、その前には2012年にドイツのマックス・プランク研究所のチームが、金属水素の生成成功を主張していましたが、どちらもわりと懐疑的な反応をされていて、その主張の正しさも確認できていません。でも専門家の中には、今回こそは本物だと考えている人たちもいます。

金属水素ってすごいの?

金属水素とはその名の通り、水素が金属の特性を有する状態です。Loubeyre氏らの論文によれば、金属水素は「議論の余地なく」存在するはずで、その根拠となるのは「量子閉じ込め効果」という現象です。量子閉じ込め効果とは、電子の動きを十分に制限すると、物質の電気的・光学的特性が量子力学の法則によって変化するという現象です。

なので論文では、十分高い圧力を加えれば、どんな絶縁体でも電気を通す金属になるはずだとしています。たとえば酸素は、地球の海抜での気圧の約100万倍となる100GPa(ギガパスカル)の圧力で金属になることが20年ほど前に証明されています。

もし本当に金属水素が発見されたとしたら、いくつかの理由ですごく楽しみなことになります。まず、そんなはぐれメタルみたいな物質の存在が実証されることだけでも胸熱なんですが、金属水素は熱を発生させずに電気を通せる超伝導体である可能性もあります。そしてそれは、こちらも物理界でツチノコのように長年探索されてきて、電子工学に革命を起こすとされる室温超伝導体かもしれません。さらに金属水素は木星のような巨大惑星の中心に存在するといわれているので、金属水素を地球上で作り出すことで、惑星の成り立ちへの理解を深めることにもなるかもしれません。

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最終更新:6/29(土) 12:40
ギズモード・ジャパン

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