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史上初、水素の金属化に成功? 今度こそ本当っぽい

6/29(土) 12:40配信

ギズモード・ジャパン

この実験のミソ

論文を書いたLoubeyre氏らはまずこれまでの研究を生かし、ダイヤモンドアンビルセル(ごく小さなダイヤモンドふたつの間にサンプルをはさんで超高圧をかける機械)で気体状の水素を310GPaで圧縮し、固体の水素を生成しました。そして彼らは圧力をさらに上げていき、粒子加速器のSOLEILシンクロトロンが出す赤外線に水素サンプルがどう反応するかを計測しました。

すると圧力425GPa前後、温度80ケルビン(摂氏マイナス193.15度)の状態で、サンプルが突然すべての赤外線を吸収し始めました。この状態は論文では「バンドギャップが埋まった」と書かれてるんですが、言い換えると、エネルギーを加えなくても水素サンプル上を電子が通れるようになったということです。

まとめると、彼らは水素ガスを超コンパクトに圧縮して量子閉じ込め効果を利用することで、水素に金属のような電気を流す性質を与えることができた、と言ってるわけです。

論文によれば、この実験を成立させた要素がふたつあります。ひとつは、ダイヤモンドアンビルセルの中心の圧力がかかる部分、ダイヤモンドのパーツを、従来のような平らな形じゃなく、ドーナツ型みたいな「トロイダル」という形にしたことです。これによって、従来のダイヤモンドアンビルセルの400GPaという圧力の上限を超えることができました。ふたつめに、彼らが開発した新しいタイプの赤外線顕微鏡を使うことで、よりノイズの少ない計測が可能になったそうです。

この結果はまだ査読を受けてない、つまりまだ他の専門家の検証を受けていなくて、主要な学術誌には掲載されていません。なのでもちろん、他の研究者が同じことを再現してもいません。上にも書いたように、これまでたくさんの研究者が金属水素生成に挑んでいて、成功を発表しては否定されてきました。なので今回も、ぬか喜びになる可能性があります。

今回こそは大発見かも?

でも今回の論文では、どこかが違う感じもします。「ノーベル賞級の発見だと思います」今回の研究には関与していない高圧物理学の専門家で米国のアルゴンヌ国立研究所のMaddury Somayazulu氏は、米Gizmodoへのメールでこうコメントしました。「(金属水素生成に成功すれば)いつでもノーベル賞級でしたが、今回は多分、もっともきれいで、もっともまとまった研究だと思います」彼はこの論文の責任者であるSOLEILのPaul Dumas氏を「とてもよく知っている」とし、Dumas氏は「非常に慎重でシステマチックな科学者」だと評価しています。

カーネギー研究所地球物理研究所のAlexander Goncharov氏も、2017年のハーバード大学の金属水素発見説には懐疑的でしたが、今回の結果はもっと信頼しているようです。「この論文には、水素におけるバンドギャップが埋まったことについて十分な証拠が書かれていると思います」とGoncharov氏。「いくつかの解釈は不正確で、データの中には改善を要するものもありますが、全体的にはこの論文は妥当だと思い、信頼しています。」

オーストラリア原子科学技術機構の装置総括研究員、Helen Maynard-Casely氏は、かつて金属水素の探索について記事も書いていましたが、今回の研究は物理学界でもかなり話題になっているとツイートしています。

で、金属水素は本当に実現できたんでしょうか? Loubeyre氏たちは、ノーベル賞のセレモニーに出席すべくストックホルム行きのチケットを予約しておいたほうがいいんでしょうか? 残念ながら、それはまだわかりません。 Maynard-Casely氏が別のツイートで言っているように、この論文はこれから他の研究者による査読で承認される必要があり、それには何カ月もかかかりそうです。

でももし本当に金属水素を発見できてたら、これからは同じ手法で金属水素を繰り返し生成できるようになるかもしれません。はぐれメタルを仲間にできれば、人類の冒険がまたひとつ前に進めそうです。

Source: arXiv、Nature、Jstage、Wikipedia、Twitter

Ryan F. Mandelbaum - Gizmodo US [原文] ( 福田ミホ )

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最終更新:6/29(土) 12:40
ギズモード・ジャパン

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