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トヨタ「スープラ」がBMWをパートナーに選んだ理由

6/30(日) 7:00配信

&GP

トヨタのチャレンジ精神を具現した新型スープラ

そんな瀕死の危機にあるスポーツカーを、トヨタは復活させてきた。トヨタは今、カーシェアリングや自動運転による乗り合いサービスの提供など、未来に向けてクルマのあり方を見つめ直し、企業としての立ち位置や方向性を大きく変えようとしている。その一方で、自動車メーカーとして今後も生き残っていくために、同社はモータースポーツ活動も重要だと考えている。先頃、連覇を果たしたル・マン24時間耐久レースや、WRC(世界ラリー選手権)で世界の頂点を目指し、果敢に挑戦しているのは、その一環だ。

それらと並行し、トヨタはもう一度、スポーツカー市場を醸成し直し、育てていこうというチャレンジも打ち出している。新しいスープラは、そうしたトヨタの動きを具現したモデルなのである。

とはいえやはり、カービジネスとして捉えると、スポーツカーの開発・生産・販売は厳しい状況にある。そこでトヨタが採った手法が、BMWとの協業だ。具体的にいえば、新型スープラはBMWのオープン・スポーツカー「Z4」と基本メカニズムを共用する兄弟車であり、企画・デザイン・味つけはトヨタが、設計はBMWが担って誕生したのである。

ちなみに生産は、トヨタでもBMWでもない、オーストリアのマグナ・シュタイヤーという企業が行っている。トヨタにとって、自社でも提携会社でもない企業に車両の生産を依託するのは、これが初めてのことだという。

トヨタにおけるスポーツカーの共同開発といえば、「86」とスバル「BRZ」の関係が思い出される。新型スープラの開発責任者であり、86の開発責任者も務めたトヨタ自動車の多田哲哉さんによると、「86とBRZは『(部品などを)できるだけ共用しよう』という考えから作られたクルマだったという。

それに対し新型スープラは「BMWと互いにベストなスポーツカー像を考え、『共用できる部分は共用しよう』という開発プロセスの上で誕生した」と語る。結果として、車体の基本骨格やパワートレーン(エンジンやトランスミッション)こそスープラとZ4は共用しているが、車体はデザインだけでなく、クーペとオープンカーというカテゴリーからして全く異なる。また、ボディの剛性配分、サスペンションやエンジンのフィーリング、トランスミッションの変速ポイント、電子制御デフのセッティング、そして音の演出なども両車は別物。さらに多田さんよると、内外装の9割は部品が異なり、開発チームもそれぞれのクルマで異なっているため「完成間近まで互いの細かい部分は全く知らなかった」そうである。

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最終更新:6/30(日) 7:00
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