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トヨタ「スープラ」がBMWをパートナーに選んだ理由

6/30(日) 7:00配信

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しかも多田さんによると「両社で共用する基本要素が決まって以降は、BMWから『共用化するためにスープラのココを変えてくれ』といったオーダーは、驚くほど出てこなかった」という。素材こそ共通だが、両社それぞれ全く異なる料理に仕上げたというわけだ。

そうして誕生した新型スープラに対して、一部では「トヨタが作ったクルマじゃない」とか「トヨタにはスポーツカーを開発する能力がない」といった厳しい声も挙がっている。確かに新型スープラは、トヨタだけで開発・製造したクルマではないものの、それは今や、スポーツカーの世界では一般的に行われていること。

例えば、アストンマーティンの最新作「DB11」のエンジンは、同社のテクニカルパートナーであるメルセデスAMG製だし、軽量スポーツカーとして名高いロータス「エリーゼ」のエンジンは、なんとトヨタ製だ。つまり、メーカーが責任をもって味つけをしさえすれば、素材は何であろうとこだわる必要がない。これがスポーツカー作りにおける、世界的な流れなのである。

スープラの復活は2019年しかあり得なかった!?

トヨタは、スープラの伝統やDNAを「後輪駆動であることと、直列6気筒エンジンを搭載していること」と定義している。しかしトヨタは、現在、直列6気筒エンジンを生産しておらず、(今のところ、)この先も具体的な開発予定はない。そう考えると、メルセデス・ベンツがそれを復活させたつい最近まで、世界唯一の直列6気筒エンジンを手掛けるメーカーだったBMWと手を組むのは、スープラ復活に向けての最適解であり、唯一の方法でもあったといえる。

多田さんによると、トヨタが自ら新しい直列6気筒エンジンを開発するという判断を下す可能性は低く、もし仮に判断が下されたとしても「そのエンジンができるのを待っていたら、少なくとも数年先までスープラの誕生を先送りしなければならなかった」という。そして重要なのは「今のタイミングでスープラを復活させなければ、2020年からさらに厳しくなるヨーロッパの排気音規制の制約を受ける。そうなると、現在のクルマ作りの延長上では、スポーツカーらしい刺激的な音を放つスープラを作れなくなってしまう」(多田さん)ということだ。

つまり、ビジネス的にも規制の面においてもスポーツカーに対して強い逆風が吹く中、「今やらなければ」というトヨタの危機感と攻めの姿勢が、2019年という年に新しいスープラを生み出したのである。

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最終更新:6/30(日) 7:00
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