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7年ぶりのポニーテール 医療用ウィッグで夢をかなえた脱毛症の女性「次は思いきり走りたい」

7/2(火) 15:41配信

デイリースポーツ

 脱毛症や抗がん剤治療などで髪の毛が抜けても、今まで通り自然に過ごしたい-。そんな願いを叶える医療用ウィッグがどんどん進化しています。これまで難しかったうなじや生え際、分け目なども自然に見せたり、肌に刺激の少ないオーガニックコットンの生地を使ったりする商品も登場。そんなウィッグを使い、7年ぶりのポニーテールや、憧れのアップスタイルに挑戦した女性に話を聞きました。

【写真】これがウィッグ?髪をかき上げるしぐさも自然

 全身性の脱毛症に悩む東京都の会社員ななみさん(仮名、36歳)は6月、医療用ウィッグメーカー「グローウィング」(大阪市)が大阪市内で開いた撮影会に臨みました。

 ななみさんが異変を感じたのは13~14年前。髪をかき上げたとき、後頭部の髪が10円玉大ぐらいの大きさで抜け落ちていることに気付きました。皮膚科での診断は円形脱毛症。ただ、当時少しストレスを抱えていたこともあり、「一時的なものだろう」とあまり深刻には考えていなかったといいます。実際、すぐに新しい毛が生え始めましたが、翌年の秋になったら抜けてしまい、以降、生えては抜けての繰り返し。多発性や蛇行性の脱毛症とされ、鍼治療も効果なく、医師には「免疫の異常が原因だろう」と言われました。

 ななみさんは、残っている髪の毛で抜けた部分を隠したり、白髪隠しのファンデーションを塗ってごまかしたりしていましたが、2年ほど前からは抜け毛が直径10センチぐらいに広がり、もみあげもなくなってしまいました。さらに昨年秋からは残っていた部分まで一気に抜け落ち、年明けには「まつ毛も眉毛も含め、全身の毛が抜けてしまった。ただただ怖くて、たまらなかった」といいます。

 もともと活動的な性格で、脱毛症になる前はベリーショートの髪型なども楽しんでいました。ですが、発症してからはうなじやもみあげを隠すため、髪を伸ばし、下の方で結ぶように。ウィッグが必要になってからは、オーダーメードは高額なため、ネット通販で手頃な商品を購入しましたが、サイズが合いません。髪質も地毛と全く違い、自分で分厚い裏地を縫って頭の形に合わせ、髪を抜いて量を減らし、自然に見えるように調節しました。

 通勤の際にはビル風が吹くたびに頭を必死で抑え、オフィスではウィッグがずれるのが怖くて腕も上げられず、休憩時間をずらしてトイレにこもって直す日々。「いつも帽子を被っている感じ。ずれないかバレないか、人の視線がずっと不安で落ち着かず、仕事を辞めることも考えた」と打ち明けます。趣味のジョギングやヨガも難しくなり、温泉もゆっくりつかれない。外出や人前に出ることすら怖くなりました。

 今回、ネットでモデル募集を知り、すぐに応募。撮影会では人毛で自然な生え際やうなじにこだわり、医療用テープで肌に直接装着するウィッグを着け、7年ぶりにポニーテールを結い、屋外でも撮影しました。強い風が吹いていましたが、「風を感じる。うわー、すごい…」とポツリ。不思議そうに髪を耳に掛け「全然、怖くないです!」と笑顔を見せると「次は、思いっきり走りたいです」と声を弾ませました。

 撮影会には、群馬県の看護師のユキさん(仮名、24歳)も参加し、成人式の振袖姿でカメラに収まりました。2歳の頃から円形脱毛症に悩んでいましたが、小学4年生になると全頭に広がりました。隠しきれずバンダナを巻いて学校に通っていましたが、興味本位で陰口を言われたこともあったと言います。

 中学になりフルウィッグを使うようになりましたが、サイズを調整するアジャスターが肌に当たって痛く、髪型も変えられないのが悩みでした。成人式ではボブスタイルのウィッグに、もみあげを隠すため両サイドに大きな花飾りを付けて出席しました。この日は分け目が自然な人毛と人工皮膚を使ったウィッグで、あこがれだった編み込みのアップスタイルに挑戦しました。

 円形脱毛症(全身性を含む)は、赤ちゃんからお年寄りまで全年齢で発症し、患者数は人口の1~2%、日本では100万~200万人近くに上るとも推測されています。がんや白血病などで抗がん剤治療をした後の需要も高まっており「髪が抜けても、結婚式も成人式も、普段のおしゃれもあきらめなくていい。自分らしく過ごして」とななみさんとユキさん。グローウィングの堀江貴嘉社長は、自らも母親が急性骨髄性白血病で抗がん剤治療を受けたそうですが「当時のウィッグの裏地は化繊で、地肌が傷付いてしまうから使えなかった」と振り返り、「誰もが安心して使え、より自然で手頃な商品を届けていきたい」と二人の姿に目を細めていました。

(まいどなニュース・広畑千春)

最終更新:7/2(火) 17:34
デイリースポーツ

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