ここから本文です

「2001年宇宙の旅」の「HAL 9000」を、2019年のテクノロジーで解説しよう

7/3(水) 7:00配信

@IT

 映画や漫画の名作を現代の技術で解説する「テクノロジー名作劇場」、今回は「HAL 9000」を取り上げる。

IBM System/360 モデル55やパンチカードなど、その他の画像

 HAL(ハル) 9000とは、映画「2001年宇宙の旅(原題:2001: A Space Odyssey)」に登場する架空のコンピュータシステムである。「2001年宇宙の旅」は、アーサー・C・クラークおよびスタンリー・キューブリックによる1968年公開のSF映画で、2018年に公開50周年を迎え、劇場上映されたり4K Ultra HD Blu-rayが発売されたりした。

 ストーリーは続編となる1984年公開の映画「2010年」で完結するため、両作を視聴しないと話が見えない。さらに続編として「2061年」「3001年」があるが、本記事では「2001年」「2010年」のみを対象とする。

 「2001年」は、私の人生を左右した特別な映画である。

 小学校生のときに読んだ雑誌の解説で、IBMがこの映画に技術協力をしたこと、HALはIBMが開発したコンピュータという想定だったこと、HALはIBMという文字を1文字ずつずらしたものと「言われている」ことなどを知った。

 中学生のとき、日本のテレビで初めて放映された本編を見た。進路指導シートに「IBMでコンピュータエンジニアになる」と書いた。大工だった父親から勘当されそうになった。

 そしてIBMに入社し、28年間働いた。

HAL 9000はメインフレーム

 HAL 9000は「一種のAI」である。まぎれもない。

 IBMではIBM 1400、IBM 4380、IBM 3090、IBM 9370といったように数桁の番号でシステム名を付ける。これに倣ってHAL 9000としたとも推測できる。ハードウェアの構成は、巨大なコンピュータシステムが、いわゆる「システム室」においてあり、宇宙船の各所に「端末」がある。

 若い人は知らないかもしれないので、コンピュータの利用スタイルの変化を説明しよう。コンピュータは、だいたい次の3つのパターンをへて今に至った。

1.単体利用型(スタンドアロン)

 最も初期の真空管で動いていたようなシステム。コンピュータに入出力機能がついており、他の機器と接続しない。パンチカードとプリンタが主な入出力だったり、ネットワークで接続できなかったりした。

2.端末利用型(ターミナルアクセス)

 システムに「端末機」という専用機器を接続して利用するシステム。最も古い時代ではカードパンチ機+カードリーダー+プリンタがセットの機器(Remote Job Entry:RJEという)が端末として遠隔操作できた。

 その後、メインフレームに接続するキーボード+ディスプレイ+プリンタの組み合わせになる。最も広く世界に普及したメインフレーム用端末は、IBM 3270ではないかと思う。

3.相互接続型(コミュニケーション)

 複数のコンピュータがネットワークを介してつながっているシステム。

 2019年現在は、コンピュータの小型化とインターネットによるネットワークコストの激減により、そこいら中にコンピュータが存在し、ネットワークで相互接続されるようになった。

 PCもスマホもスマートウォッチもみなコンピュータシステムである。インターネットとその入り口となるイーサネット、Wi-Fi、LTEはみなネットワークである。クラウド事業者はそれらのネットワークを通して膨大なコンピュータをデータセンターで動かし、相互接続させている。

 HAL 9000は、2の端末利用型。端末が接続されたメインフレームコンピュータとして描かれている。

 (作品中に説明がないので確定的には言えないが)HAL 9000の機能のほとんどは、ボーマン船長がHAL 9000を停止させるために入る「LOGIC MEMORY CENTER」という大きな部屋に置かれているようだ。

 SPACE PODが置かれている部屋に横長の大きな箱があったり、人工重力の効いたドーナツ形のエリアにもHAL 9000の端末が置いてあったりしている。

★Point!
HAL 9000はメインフレーム型で、乗組員がアクセスしているのは端末装置

1/6ページ

最終更新:7/3(水) 7:00
@IT

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事