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耳に障害を持つフレンチブルドッグのしつけ あるトレーニングで克服

7/4(木) 10:44配信

デイリースポーツ

 犬を飼うと、大半の飼い主さんは「オスワリ」「フセ」「マテ」などを教えます。人間社会で一緒に生きていくには、事故やトラブルを防止する意味でとても大事なトレーニングだからです。教えるときは、指を立てたり、手のひらを見せたりする「ハンドシグナル」と一緒に言葉も付けるのが一般的ですが、もし、あなたの愛犬が耳に障害を持っているとしたら、どのようにして教えますか?

【動画】愛犬が耳に障害を持っていたら…どのように教える?

 フレンチブルドッグの天君は2歳の男の子。生後半年を過ぎてもペットショップのショーケースから出られなかったのは、「耳が聞こえづらい」という障害を持っていたからかもしれません。東大阪市内に住むMさんは、ショップ店員から「音に対する反応が鈍い」と説明を受けましたが、「ショーケースが小さくてかわいそう」と、飼うことを決めました。

 トイレのしつけはすぐにできましたが、「オスワリ」や「マテ」の教え方が分からなかったMさんは、ドッグトレーナーを頼ることにしました。依頼を受けた平口紗那さん(Wags Tail代表ドッグトレーナー)は、まずハンドシグナルを使って天君にトレーニング。すると、すぐに「オスワリ」や「フセ」ができるようになったそうです。

 問題はここから。経験豊富な平口さんも、耳の不自由な犬のトレーニングは初めてです。「全く聞こえないのか、聞こえづらいのか」を見極める必要もあり、トレーナー仲間から情報を集めたところ、「犬笛を使ってみては?」というアドバイスを受け、試してみることにしました。

 犬笛とは、動物の訓練などに使われるホイッスルで、平口さんは長さを調節することで音の周波数を変えられる犬笛を購入し、天君が聞き取れる周波数を地道に探しました。すると、ある高さの音に天君が反応! つまり、天君は「聞こえづらい」だけだったのです。

 そこから、犬笛を使ったトレーニングが始まりました。教えたい項目は6つ(オスワリ・フセ・マテ・ハウス・オイデ・スピン)。スピンは「トリック」と呼ばれるもので、他の基本トレーニングとは趣旨が異なりますが、ヒトと犬がコミュニケーションを取るのに役立ち、また、楽しく練習できるというメリットもあります。

 6つの項目を表す言葉がそれぞれ違うように、天君には犬笛の吹き方を変化させて教えなければいけません。平口さんは吹き方の一覧を作ってMさんと共有。最初は犬笛とハンドシグナルを組み合わせてトレーニングを行い、次第にハンドシグナルをなくして、犬笛の音だけでもできるようにしていきました。

 2週間に1回のペースで計6回トレーニングしただけで、天君は見事にすべての項目を覚えたと言います。もちろん、その間にはMさんと天君のマンツーマン・レッスンが行われていたのですが。

「オスワリやフセは手で指示すれば大丈夫ですが、離れたところから呼び戻さないといけないときは、“音”じゃないと伝わらない。聞き取れる音が見つかってよかったです」とMさん。犬の特性上、ハンドシグナルのほうが指示は伝わりやすいようですが、少しでも音が聞こえるのなら、耳からも情報をキャッチできるに越したことはありません。前述の通り、平口さんも犬笛を使ったトレーニングは初めてでしたが、「言葉で教えるのと何も変わりませんでしたよ」と当時を振り返ります。

「帰宅したとき、玄関のドアを開けても出てこないし、名前を呼んでも振り向いてくれない。それを寂しいと感じる人もいるかもしれませんが、大したことではありません。元気でいてくれるだけで幸せです」

 Mさんはそう言って、甘えてくる天君をやさしくなでました。愛犬の耳が聞こえないかもしれないと感じているあなた、犬笛を試してみてはどうでしょうか。新しい世界が広がるかもしれません。

(まいどなニュース特約・岡部 充代)

最終更新:7/4(木) 18:26
デイリースポーツ

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