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「老人福祉・介護事業」の倒産件数が年上半期で過去最多、ヘルパー不足で訪問介護事業者の倒産が急増

7/4(木) 15:00配信

東京商工リサーチ

◇業種別 「訪問介護事業」が最多
 業種別では、最多が「訪問介護事業」の32件(前年同期18件)。次いで、デイサービスなどの「通所・短期入所介護事業」が13件(同18件)、「有料老人ホーム」が5件(同7件)、サービス付き高齢者住宅などを含む「その他の老人福祉・介護事業」が3件(同1件)だった。

◇原因別、「販売不振」(業績不振)が急増
 原因別では、最多が販売不振(売上不振)の40件(前年同期比53.8%増、前年同期26件)だった。次いで、「事業上の失敗」(同50.0%減、同8件)と「運転資金の欠乏」(同100.0%増、同2件)が各4件。「金利負担の増加」と「既往のシワ寄せ」(赤字累積)が各2件で続く。

◇設立別、5年以内が3割
 設立別では、2014年以降の設立5年未満が17件(構成比30.9%)と3割を占め、新規参入の事業者が目立った。また、従業員数では5人未満が36件(前年同期比38.4%増、前年同期26件)で、全体の約7割(構成比65.4%)を占めた。
 
◇形態別、破産が92.7%
 形態別では、事業消滅型の破産が51件(前年同期比24.3%増、前年同期41件)と全体の9割(構成比92.7%)を占めた。一方、再建型の民事再生法は1件(前年同期3件)にとどまり、業績不振に陥った小・零細企業の再生が難しいことを示している。

◇地区別件数、近畿地区が最多
 地区別では、全国9地区のうち、四国を除く8地区で倒産が発生した。最多は近畿の16件(前年同期6件)。次いで、関東15件(同14件)、中部6件(同9件)、中国5件(同1件)と九州5件(同8件)、東北3件(同3件)と北海道3件(同2件)、北陸2件(同ゼロ)、四国ゼロ(同2件)の順。前年同期比では、北海道、関東、北陸、近畿、中国の5地区で前年同期を上回った。

 「老人福祉・介護事業」の倒産が、再び増加に転じている。小・零細規模の事業者を中心に、経営が軌道に乗らず破たんするケースが目立つ。特に、「訪問介護事業」の倒産は、前年同期比77.7%増と2倍近くに急増した。 
 2018年度の介護報酬改定では、訪問介護事業者の人材確保の必要性を指摘していた。参入促進策として、人材のすそ野を広げる政策も取られている。拡大する市場を狙い、新規参入が多いのも「老人福祉・介護事業」の特徴だが、参入障壁が低い一方で、資金やノウハウが乏しい企業が安易に進出している問題点も浮き彫りになってきた。
 ホームヘルパーなどの人手不足や高齢化に加え、大手や中堅事業者との競合で、資金力の乏しい小規模事業者の脱落が増えている。老人福祉や介護事業者には、介護サービスを待つ人々がいることを忘れてはならない。「老人福祉・介護事業」の倒産増加は、サービスを受ける介護者が不利益を受けるケースが増えることも意味する。
 安定した介護サービスの提供には、介護事業者の自発的な健全経営と持続可能な制度設計、そして一定の公的支援も必要になっている。

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最終更新:7/4(木) 16:23
東京商工リサーチ

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