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なぜ野党は敗れ続けるのか

7/4(木) 18:05配信

ニュースソクラ

山本太郎人気に透ける、経済政策の不作

 7月の参院選を前に、「消費税廃止」を掲げる山本太郎参院議員が一部でちょっとしたブームになりつつある。

 改選を迎える山本氏は今年4月、政治団体「れいわ新選組」を立ち上げ、3億円の寄付と10人の候補者擁立を目標に全国行脚しているが、街頭演説での訴えはほぼ経済政策一色。その筆頭が消費税廃止で、画面で政府の発表データを見せながら、「消費税は強制的な物価上昇。デフレの時代に間違った政策だ。増税するなら金持ちから取るべきで、法人税や所得税の累進課税を強化する。もう1つの方法は新規国債の発行。国は国民への投資が足りない」などと訴えると拍手が沸き起こる。

 初出馬時は、福島の原発事故からの影響を避ける「反被曝」一辺倒だった山本氏は、6年間で様々な問題意識を持ったことだろうが、非正規雇用の拡大や実質賃金が増えない現状に、行きついた先が今度は経済政策というわけだ。

 その理由を、山本氏は週刊誌「サンデー毎日」のインタビューでこう語っている。

 「特定秘密保護法、新安保法制、共謀罪など人権を制限するとんでもない法律が国会で成立してきた。でもその間に3回国政選挙があったが、野党が全部負けている。ちゃんとした経済政策を示さなければ、野党は選挙に勝てない」

 この視点。今年5月に「なぜリベラルは敗け続けるのか」(集英社インターナショナル)を上梓した政治学者の岡田憲治専修大教授も同じことを指摘している。リベラルで知られる政治学者が「『友』を喪う覚悟」で執筆したそうだが、「平和や人権、安保と憲法より、今はおカネなのに、リベラルの人たちは反貧困と格差是正のための経済政策を政治活動の中心に据えているように見えない。ゼニカネだけを訴えるべし」と言うのである。

 世論調査をすれば、関心のあるテーマや選挙で重視する政策のトップにあがるのは、景気対策と社会保障だ。そう考えれば、有権者にまず何を訴えるべきかはおのずと分かる。しかし、野党はそこを明確に打ち出せていなかったし、積極的に語ってこなかった。

 もちろん野党に経済政策がまったくないとは言わない。選挙公約には必ず含まれているが、総花的な中の1つでは埋没してしまい、有権者に伝わらない。

 唯一、前原誠司代表時代の民進党が、社会保障の負担を社会全体で公正に分かち合う「オール・フォー・オール(みんながみんなを支え合う)」という基本理念を掲げ、社会保障政策を安倍政権との対立軸の前面に打ち出していた。野党第一党がようやく有権者の関心の高いテーマで選挙を戦いに行くはずだったが、一昨年の総選挙直前の希望の党との合流により「小池にハマって」この政策も立ち消えになってしまった。

 山本氏は街頭演説で、「私たち(国会議員)がお仕えするのはこの国に生きる人びと」「あなたが政治家をコントロールするんです」とも言っていたが、与党はもちろんのこと、安倍政権に勝ちに行く気迫と覚悟が見えない今の野党も、そうした政治家としての基本を忘れてしまっているように見える。議員バッジを維持し続けられれば、万年野党でも構わないという保身では、有権者に響かない。

 消費税廃止の是非はともかく、「老後資金2000万円不足」が世論の関心を集めていることもあるのだから、確かに野党はもっと「ゼニカネ」にこだわるべきなのだろう。

■小塚かおる(日刊現代ニュース編集部長)
1968年、名古屋市生まれ。東京外国語大学スペイン語学科卒業。関西テレビ放送、東京MXテレビを経て、2002年から「日刊ゲンダイ」記者。その間、24年に渡って一貫して政治を担当。著書に『小沢一郎の権力論』、共著に『小沢選挙に学ぶ 人を動かす力』などがある。

最終更新:7/4(木) 18:05
ニュースソクラ

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