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「日本のプロレスはリスペクトされている」WWE日本公演で連勝のカイリ・セイン、“ストーリーを伝える”プロレスで魅せる

7/4(木) 11:26配信

AbemaTIMES

 毎年恒例となっているWWEの日本公演では、ファンと日本人選手たちの“再会”も大きなポイントだ。日本のリングで見てきた選手たちが世界最大の団体に所属し、そこで奮闘し、出世して我々の前に“里帰り”してくる。今年の両国国技館2連戦(6月28日、29日)では、中邑真輔が初日のメインでセス・ロリンズのユニバーサル王座に挑み、敗れたものの熱戦を展開した。2日目にはトップ中のトップ、来日自体が“事件”ともいえたトリプルHとドリームタッグを結成、観客を狂喜させた。

 WWEで活躍している日本人は男子だけではない。今年の日本公演には、アスカ&カイリ・セインの「カブキ・ウォリアーズ」も登場。ビリー・ケイ&ペイトン・ロイスの「アイコニックス」に連勝している。カイリは2日目の試合前、メディアの囲み取材に応じている。そこで“再会”した彼女はスターダムで活躍していた「宝城カイリ」とまったく変わらない雰囲気だった。明るくてフレンドリー、そしてちょっと天然。それが嬉しいし、だから余計に「出世したんだなぁ」という感慨も強くなる。

「WWEに所属するようになって2年、SMACKDOWNに昇格して、アスカさんとのタッグで日本に帰ってこれたのが夢みたいに嬉しいですね。昨日(初日の試合)も入場から嬉しさがあふれちゃって」

 WWEとの契約を発表したのが一昨年の日本公演。女子トーナメント「メイ・ヤング クラシック」で優勝し、下部団体NXTで女子王座を獲得すると今年4月にSMACKDOWN昇格を果たした。野球で言えば「一軍ローテーション入り」である。そこで、日本では接点がなかったアスカと組むことになった。彼女にとって、この2年は“激動”というべき日々だった。

 バックステージでの出来事も場内ビジョンで“中継”され、マイクアピールの時間もたっぷり取るWWEは、いわばエンタメプロレスのオリジンにして最高峰。そこで生き残るのは並大抵のことではない。

「(WWEの2大ブランド)SMACKDOWNもRAWも、それにNXTもですけど、やっぱりシビアな世界ですね。みんな選ばれて入ってきた人たちなので。技術もあるしキャラクターもある。その中で飛び抜けて目立つにはどうするか。SMACKDOWNとRAWは特にライト層、テレビをパッとつけて見た人に楽しんでもらうことが大事なので。もっとキャラクターだったりエンターテインメント性を追求していけたら」

 リングネームは変わったが「カイリ」はそのまま。最近のWWEでは、キャラクターやファイトスタイルを(日本のファンから見て)不自然にねじ曲げてしまうようなことは少なくなった。日本時代から得意としてきたエルボーは、アメリカでもそのまま彼女の代名詞となっている。

 その一方で、動きやアピールの“大きさ”が増した印象もある。よりわかりやすく、より遠くまで届く、そんなプロレスだ。会場で見るとよく分かるが、タッグマッチでコーナーに控えている時でも、ただ黙って立っているわけではない。いついかなる時でも感情表現をしている、と言えばいいだろうか。

「真輔さんとアスカさんはお兄さん、お姉さんみたいな感じで。よくアドバイスももらってます」

 2人からのアドバイスも、キャラクターや表現に関する部分が多いそうだ。

「私はカッコつけなくていいと(笑)。どんくさいところがあってもいいし、そのことで逆にアスカさんの強いキャラクターも際立つので」

 カイリのもう一人のメンターは、NXTの責任者でもあるトリプルHだ。「立ってるだけでも凄いですよね」というトリプルHから、試合前にいつも言われていた言葉は「TELL A STORY」だそうだ。

「ストーリーのないプロレス、感情のないプロレスではなく闘う姿を見せろ、と。(トリプルHは)試合の物語を大事にしますね」

 技を出し合ってどっちが勝ち、負けたか。それだけがプロレスではない。なぜ闘い、いかに闘い、その結果どうなったのか。そのストーリーこそがプロレスをプロレスたらしめている。アメリカに住んで2年、英語もかなり上達したが、インタビューやマイク合戦でのやりとりも武器にしていきたいとカイリは言う。

 ただ、レスラーとして日本で生まれ育った強みも大きい。アメリカに来て、日本のプロレスがどれだけリスペクトされているかを感じたという。

「(WWEは)選手がみんな研究熱心ですね。新日本さんやノアさんの映像をみんなよく見てるんです」

 技や試合運びだけではなく、精神面も日本で鍛えられた。

「何があってもどうにかなるっていう精神はこっちでも生きてます。WWEでは、試合がなかったはずなのに急に“今から出て”っていう時もあって。“今日チャンピオンシップだから”とか。そういう時にも力が出せる度胸がないといけない。急に大きな舞台に出て、そこでいいパフォーマンスをして結果を残さないと次につながっていかない。そういう意味で、私はいろんな先輩にしごいていただいたので(笑)。何があっても立ち直れるし、立ち上がれますね」

 WWE女子戦線は、大変革の真っ只中にある。選手の呼称はマネジャーも含めた出役の総称「DIVA」から男子と同じ「スーパースター」になった。女子のみのPPVビッグイベントが開催され、年間最大のイベント『レッスルマニア』のメインイベントも、今年は女子の試合だった。

 この“女子革命”の中で、その力を必要とされてWWEと契約したカイリは、今後さらに存在感を増していくはずだ。来年以降の“再会”がさらに楽しみになる日本公演だった。
文・橋本宗洋

最終更新:7/4(木) 11:26
AbemaTIMES

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