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「ジャンヌ・ダルク」追い出した捕鯨業界

7/8(月) 12:22配信

47NEWS

 「マスコミの方は出てください!」。日本が国際捕鯨委員会(IWC)から脱退し、31年ぶりの商業捕鯨再開に踏み出すのを目前にした6月30日、「近代捕鯨発祥の地」として知られる山口県下関市のホテルで捕鯨船乗組員を激励する業界の壮行会の乾杯後、われわれ報道陣は会場から追い出された。退場する人混みの中に、ビデオカメラを手にした女性が着けている「八木フィルム」と記した腕章に目がくぎ付けになった。「あの作品」を撮った女性映画監督ではないかと思い浮かんだのだ―。 (共同通信社福岡支社編集部次長・大塚 圭一郎)

 ▽批判浴びた女性議員「来賓」に

 会場最前列のテーブルにはLGBTカップルのことを「子どもを作らない、つまり『生産性』がない」と月刊誌に投稿して批判を浴びた自民党の杉田水脈衆院議員の姿も。「来賓のセンセイ」が報道陣から詰め寄られ、商業捕鯨へとこぎ出すお祝いムードに水を差す事態を何としても避けたかったのだろうか?

 腕章を着けた女性の「正体」は、私の見立てに間違いなかった。映画「ビハインド・ザ・コーヴ」を監督、制作した八木景子さんだったのだ。私は思わずこう口走った。「日本の捕鯨産業のよりどころとなる映画を撮った八木さんが、なぜマスコミと一緒に追い出されるのですか?来賓として招かれて特別待遇を受けてもおかしくないのに」

 ビハインド・ザ・コーヴは、和歌山県太地町のイルカの追い込み漁を撮影し、2010年に米アカデミー賞を受けた反捕鯨映画「ザ・コーヴ」を検証した映画だ。鯨食が縄文時代から続く日本人の食文化の一部になっていることや、捕まえたクジラを貴重なタンパク源として口にするだけではなく、ひげなどを生活用品として活用するなど大切な資源として活用してきたことを紹介。ザ・コーヴが偏見に基づいた視点から、捕鯨の残酷さを際立たせて描いたのとは対照的に、水産庁にも取材して日本の捕鯨を冷静に取り上げた。

 15年公開されると話題を呼んでカナダのモントリオール世界映画祭に出品され、翌16年には反捕鯨国の米国の主要都市、ニューヨークとロサンゼルスでも上映。さらに、世界の有料加入者数が約1億5千万人に上る動画配信の世界最大手、米国ネットフリックスが配信したのは「日本のドキュメンタリー映画で初めて」(八木監督)という快挙だ。23カ国語で視聴できるとあって影響は世界中に広がった。

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最終更新:7/8(月) 13:03
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