ここから本文です

ビッグ・ブラザーに見られてる…?香港デモが警告するプライバシーの行く末

7/8(月) 20:12配信

ギズモード・ジャパン

未来はすでに現実になりつつあります。悪い意味で。

香港で巻き起こっている大規模デモは、容疑者の身柄を中国本土へ送りかえせるよう「逃亡犯条例」に手を加えようとした香港政府に対し、市民が街を埋め尽くして抗議したものです。

【Twitter画像】ビッグ・ブラザーに見られてる…?香港デモが警告するプライバシーの行く末

そのデモで、ある奇妙なことが起こりました。デモに参加した人たちが地下鉄に乗車する時にICカードを一切使わなかったのです。

ICカードを改札機にくぐらせる代わりに、人々はわざわざ券売機に並んで現金で切符を購入していました。なぜ…?

どうやらデモに参加したという痕跡を残したくなかったようなんですね。

デモ参加者は紙の切符を買った

香港に行ったことがある人なら「オクトパス(八達通)」と呼ばれるICカードがどれだけ普及しているかはご存知だと思います。私(米GizmodoのFrederike Kaltheuner )も2017年に香港で開かれたプライバシーカンファレンスに参加した際、記念品としてオクトパスカードをもらい、フェリーに乗ったりコンビニで買い物したりとあれこれに使いました。

オクトパスカードを使わずに紙の切符を求めると、不便などころか値段も高くなってしまいます。それなのに、デモに参加した人はなぜICカードを使うことがそんなにも不安だったんでしょうか?

駅の券売機に人が並ぶなんて通常ありえないこと。立ち聞きした会話から察するに、デモに参加したことが履歴に残るのを恐れて、みんなICカードを使うのをためらっていたようです。

これは香港に限ったことではありません。

いまや世界中の警察や情報機関がひそかに公共スペースにおける通信監視を行っています。デモが勃発した時だけでなく、私たちは常にリアルタイムで監視されているのです。監視の対象は広がりつつあり、さらに、新しい技術が編み出されるたびに監視の手段が変わってきています。

利便性の代償

最新技術を駆使すれば、遠隔操作で目につかないスパイ活動をするなんてことは日常茶飯事。 携帯電話の基地局をよそおった「IMSIキャッチャー」は、そこにたまたま居合わせた人々のメールの中身、通話の内容、インターネット通信の履歴などを傍受していますし、顔認識システムを搭載した無数の監視カメラの前では人は歩く身分証明書のようなものです。無害に思える公共のWi-Fiネットワークですら、通過する人を追跡するのに使うことができます。

このような強力なツールを前にして、地下鉄の乗車履歴をICカードでトラッキングされることなんてあまり重要ではないとすら思えてきます。(オクトパスカードのほとんどは無記名なのですが、使用者のクレジットカードにリンクされているため過去には警察がこのクレジットカード情報を使って容疑者を割り出したケースもあります。)

券売機に長蛇の列ができた香港での光景は、わたしたちにある真実をつきつけています。それは、プライバシーの侵害は時間差を伴うリスクだ、ということ。

データ資本で動いている今の世界において、日常的にテクノロジーに触れて暮らしている私たちは、事情が変わればそれらのテクノロジーに提供されたデータよって身の危険にさらされるとも限りません。逆に言えば、ふだんの生活のなかでは搾取されているデータの代償に気づけないのです。

1/3ページ

最終更新:7/8(月) 20:12
ギズモード・ジャパン

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事