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がん進行に交感神経影響 福医大小林教授ら発表

7/9(火) 9:33配信

福島民報

 岡山大医学部の神谷厚範教授(細胞生理学)と福島医大医学部付属生体情報伝達研究所生体機能研究部門の小林和人教授(59)らの研究チームは、がん組織内に自律神経が入り込み、増殖や転移を促進しているとの研究結果をまとめ、八日付英科学誌「Nature Neuroscience」電子版で発表した。自律神経の操作により、がんを抑制する新たな治療法の開発につながる可能性があるという。

 自律神経は脳からの命令(電気信号)を臓器に伝え、働きを調節するケーブルの役割を担う。ストレスなどで活発化する交感神経と、リラックス時に盛んに働く副交感神経がある。疫学ではストレスががんの進行を早めるとされるが、がん組織に自律神経がどう入り込み、どう作用するかは未解明だった。

 研究チームは人の乳がん組織を分析し、がんの増大に伴い自律神経ががん組織に入り込むことを発見した。患者約三十人のがん組織を解析した結果、交感神経の多い人は、少ない人に比べて術後の再発や死亡率が高い傾向をつかんだ。

 さらに、遺伝子を操作して局所の自律神経機能を調節する技術を確立。乳がんを移植したマウスに同技術を使い交感神経を刺激すると、がんが増殖して転移も増えた一方、交感神経を除去すると増殖や転移は抑制された。

 がん治療は手術や抗がん剤、放射線治療が主だが、抵抗性を持つがんも多い。神谷教授は「ストレスを軽減し、心を平穏に保つことががん予防・抑制に役立つことを示す結果。神経を操作する新たな治療法につなげたい」としている。

 研究には福島医大から小林教授、加藤成樹講師(41)が参加した。がん組織に入り込んだ交感神経に的を絞り遺伝子を注入し、機能を調節する特殊技術(ウィルスベクター)を提供し、研究の成功に協力した。小林教授は「脳分野の研究で培った技術でがん治療という異なる分野に貢献できたことは意義がある」と語った。

最終更新:7/9(火) 9:33
福島民報

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