ここから本文です

病院も「定額制」に?かかりつけ医普及のために政府が模索か

7/9(火) 12:32配信

THE PAGE

 かかりつけ医が月額固定料金になるという新制度の検討が始まったと報道されています。根本匠厚生労働相はこの報道を否定しましたが、定額制の検討を行う意向を示しています。増え続ける医療費に歯止めをかけるため、政府は「かかりつけ医」の制度を普及させようとしていますが、定額料金制もその一環とみてよいでしょう。

背景には医療保険の深刻な財政状況

 このところ年金問題が世間を賑わせていますが、社会保障制度の財政問題という点では実は医療保険の方が深刻な状況です。2016年度における国民医療費の総額は42兆1381億円でしたが、このうち国民が支払う保険料と自己負担分(一般的には3割)でカバーできているのは26兆円に過ぎません。残りは政府や地方自治体などからの補助で成り立っているというのが現実です。医療保険には年金のような積立金はありませんから、その年に徴収した保険料で、医療費をカバーしなければなりません。医療費が高騰するとたちまち財源不足になるという制度的な特徴があります。

 これに加えて日本人は、医療機関を受診する回数が諸外国と比較して極めて多いという特徴があり、これが医療費の増大を招いています。ちょっとした風邪でも大病院の外来に行く人も多く、大病院に患者が集中するという問題も発生しています。政府では大病院への集中を防ぐため、2016年4月から紹介状なしで大病院を受診した場合には最低5000円の初診料がかかる制度を導入しましたが、効果はいまひとつのようです。同様に政府は、かかりつけ医の診断を受けてから、必要に応じて大病院を紹介する制度の導入を検討していますが、かかりつけ医制度に医師会が難色を示していることもあり、こちらもまだ実現していません。

 今回、日本経済新聞が報じたプランは、かかりつけ医を登録制にした上で、診察料を月額の定額とし、患者が気軽に受診できるようにするというものです。基本的にはかかりつけ医が患者の健康状態を把握していますから、必要に応じて大病院を紹介します。患者がかかりつけ医以外を受診した場合は、患者からは追加の自己負担を徴収するとしています。根本厚労相は報道を否定しつつも、定額制は「新経済・財政再生計画 改革工程表2018」における検討事項であると発言しており、同工程表には「かかりつけ医の普及の観点からの診療報酬上の対応や外来時の定額負担について検討」という記述がありますから、かかりつけ医の普及のために何らかの定額制の形を模索しているものと考えられます。

無駄な検査が減る一方、医師には負担に

 これまで、医療費については患者が受診するたびに支払われる仕組みだったことから、過剰な検査が多くなるという弊害が指摘されていました。定額制にすれば、過剰な検査をしても医師側の利益にならないため、ムダな検査が減るといわれています。一方、定額制にした場合、何度もクリニックを受診する人が増え、医師側に過度な負担がかかる可能性があることも否定できません。

 いずれにせよ高齢化が進む日本の場合、医療費の抑制は避けて通れない課題であり、何らかの対策が必要なことは間違いありません。国民の健康に関わる話ですから、もっとオープンな議論が必要でしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:7/9(火) 12:48
THE PAGE

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事