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新幹線のトンネル工事影響で周辺集落の水が枯渇 伝説の井戸も使えず

7/9(火) 17:18配信

福井新聞ONLINE

 2023年春の北陸新幹線敦賀開業に向けた新北陸トンネル(約19・7キロ)工事の影響で、周辺の福井県敦賀市越坂、田尻の両区内を流れる川や農業用水が枯渇する現象が起きている。弘法大師空海にまつわる伝説が残る井戸が使えなくなった被害も出ている。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構は、下流側などから水をくみ上げて送水する応急対策を行っているが、地元住民からは恒久的な対策を求める声が相次いでいる。

 越坂区では、新北陸トンネル工事のアクセス通路となる「斜坑」の掘削工事が2017年3月に始まり、同年7月ごろから区内を流れる越坂川の流量が減少。同機構の調査によると、上流付近で毎分約100リットルあった流量が5分の1を下回る状況となった。

 川の水は農業用水の一部や冬場の道路の融雪に使っており、区民の生活に影響を及ぼす懸念が生じたため、機構は地元と協議。応急対策として、斜坑付近の湧水をポンプでくみ上げ、浄化処理して川の上流部まで管路を通し、送水するようにした。

 区長の男性(70)は「以前は川で野菜を洗う区民もいたが、濁水も混じり、もう洗えない」と厳しい表情。「トンネル工事の完了後は、絶対に水が枯れない場所から送水するようにしてほしい」と抜本的な対策を求める。

 同区では民家2軒の井戸の地下水の水位が低下し、使用できなくなった被害も出ている。このうち83歳の男性所有の井戸は、かつて弘法大師がこの地を訪れ、つえをつくと清水が湧き出たという伝説が残り、区民の飲料水として重宝されてきた歴史があるという。男性は「いわれのある井戸が使えなくなり悲しい。行政などは新幹線が来ると喜んでいるが、生活用水に悪影響が出ている面もある」と声を落とす。

 一方、田尻区でも昨夏以降、山の沢水が枯渇。農業用水として使っていた約30アールの水田に影響を及ぼすため、機構は近くの田尻川からポンプで水をくみ上げ送水する対策を行った。水田所有者の62歳の男性は「区内の沢水や川の流量が全体的に減少しており、以前と比べると半分以下。井戸掘削などで地下水をくみ上げるようにしてもらわないと、米作りができない」と訴えている。 機構は「トンネルの主な工事が完了する20年9月ごろまで応急対策を継続する予定。その後は地元住民と相談し、恒久対策を検討する。対策設備の整備費や30年相当分の維持管理費を金銭補償することが考えられる」としている。

福井新聞社

最終更新:7/9(火) 17:18
福井新聞ONLINE

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