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彼女の青春を奪ったのは、誰なのか。「ハンセン病家族訴訟」原告たちが問いかけること

7/9(火) 16:51配信

BuzzFeed Japan

国が控訴を断念することを明らかにした「ハンセン病家族訴訟」。長年にわたる隔離政策によって苦しんできた家族たちによる初めての集団訴訟は、国の責任を認め、一部賠償を認めた熊本地裁判決が確定することになった。【BuzzFeed Japan/籏智 広太】

今後、差別の根源をつくってきた国だけではなく、社会そのものが何をしてきたのか、改めて問われることになる。

「ハンセン病は、一体なんであったのか。国がなぜ世界にも例を見ない隔離政策を続けてきたのか。その政策のもとに、本人ならびに家族がどんな思いを強いられたのか。どんな人権侵害、差別に耐えなければならなかったのか」

7月9日、記者会見で原告団長の林力さん(元九州産業大教授)が言葉に力を込めた。父親がハンセン病の元患者で、「ずっと父を隠し続けてきた」といい、国に対して、こうも求めた。

「やっていただきたいことは、この問題に対する誤った政策のもとで培われた偏見、無知ーー。無知こそ差別の始まりでありますので、そうした問題解決に全力を注いでいただきたい」

裁判の原告は、患者が発症当時に同居していた家族や、患者の子どもたち家族561人。その多くは、いまも社会に根深く残る差別をおそれ、匿名で参加している。弁護士と会うこともできなかった原告が、少なくないほどだ。

6月28日の熊本地裁の判決では、隔離政策が「大多数の国民らによる偏見・差別を受ける一種の社会構造を形成し、差別被害を発生させ、家族関係の形成の阻害を生じさせた」とした。

判決では、学校側の就学拒否や村八分、結婚差別や就労差別などの被害を認定。20人の請求は棄却されたが、541人に計3億7675万円の支払いを命じていた。

国が期限である7月12日までに控訴をするのか、断念するのかに注目が集まっていたが、安倍晋三首相は9日朝、「筆舌に尽くしがたい経験をされたご家族のご苦労をこれ以上長引かせるわけにはいかない」と、控訴断念を発表した。

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最終更新:7/9(火) 16:56
BuzzFeed Japan

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