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後期高齢者に「仕送り」35万円 給与天引きで自覚薄く

7/10(水) 14:05配信

毎日新聞

 75歳以上の後期高齢者の人には1人当たり年間約91万円の医療費がかかっている。このお金は何で賄っているのだろうか。

 患者本人が病院窓口で原則1割の自己負担分を払う。残りについては、半分が税金、1割を後期高齢者の人たちが納めている保険料で、あとの4割は現役世代が負担している。これをさまざまな調整の仕組みを勘案して計算すると、現役世代は1人の後期高齢者に対して毎年、約35万円を「仕送り」していることになる。

 日本が世界に誇る「国民皆保険制度」だが、現役世代の仕送り頼みというのが現実だ。こうした仕組みは、あなたが高齢者になる日まで続けられるのだろうか。

自覚のない現役世代

 「そんなに高額の仕送りをしているつもりはないんだけど……」。横浜市の会社員、杉浦浩樹さん(34)は、医療保険の仕組みをよく知らない。病院のお世話になるのは、趣味の草野球でけがをしたときくらいで「3年に1度くらいですね」。妻の有紀さん(30)はパートで、夫の扶養家族になっている。たまに熱を出しても「仕事を休んで寝ていれば治るし。病院には行ったことがない」という。「それなら、高いお金を払って、保険に入る必要はないじゃないか」――。

 日本の公的医療保険制度は、国民だけでなく日本に住所を置く外国人も全員加入する「国民皆保険」だ。1961年にできた。「入る、入らない」を自分で決めることはできない。

 かかった医療費のうち、患者が医療機関の窓口で支払う「自己負担」は原則年齢によって1~3割。残りの9~7割は加入する健康保険から支払われる。財源は、加入者が納める保険料のほか、国や自治体の税金だ。この制度のおかげで、お金のあるなしにかかわらず、安心して、誰でも同じ医療を受けることができる。

 どの保険に加入するかは、年齢や職業で自動的に分けられる。自営業者らが入るのは「国民健康保険」で、自治体が運営する。会社員は勤め先が設立した「健康保険組合」か、健康保険組合がない場合は「全国健康保険協会」(協会けんぽ)。一方、75歳以上になると一律に「後期高齢者医療」に入る。

 自分が入っている保険は、保険証に書いてある。杉浦さんが保険証を見たところ、会社の健康保険組合だった。医療機関にあまりかからないことに加え、保険料が給料から自動的に天引きされていることもあり、杉浦さんもあまり意識していなかったようだ。

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最終更新:7/10(水) 17:14
毎日新聞

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