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朝比奈と福岡が新しい風~欧米に追い付け ”文武両道”

7/10(水) 7:05配信

VICTORY

2020年東京五輪を目指すアスリートで、これまでの日本のトップクラスには珍しい人生設計を描いている選手たちがいる。ラグビー男子の福岡堅樹(パナソニック)と柔道女子の朝比奈沙羅(パーク24)。ともに現役引退後に医師になることを志し、競技生活を送りながら勉強にも励んでいる。欧米を中心に、海外では秀でた実績を持つスポーツ選手が医師や弁護士に転身する”文武両道”が散見される。人生の幅広い可能性を象徴するその存在は社会の豊かさを表す指標の一つとも捉えられる。自国開催の五輪を機に、福岡と朝比奈の生き方は日本のスポーツ界に新たな風を吹き込んでいる。

明確な目標

福岡は快足のウイングとして今年のワールドカップ(W杯)日本大会でも活躍が期待される。福岡高―筑波大出身の26歳。7人制で実施される来年の東京五輪を最後に、現役を退いて医学部への挑戦を明言している。医者の家系に育ち、さらには高校時代に膝の靱帯を切る大けがを負ったときに出会った医師の存在が、第二の人生を考える要因になったという。日本が誇るトライゲッターは「悔いがないようにしたい」と、しっかりと集大成を見据えている。

22歳の朝比奈は最重量級の78キロ超級で活躍している。こちらも父が麻酔医、母は歯科医という家庭に生まれた。中学3年で講道館杯全日本体重別選手権の準決勝に進むなど早くから才能が開花。体重無差別で争う全日本女子選手権も制し、昨年には世界選手権を初制覇した。その傍らで医学部受験に向けて予備校に通いながら稽古を重ねるなど、明確な目標を持って両方で奮闘。「覚悟を決めて五輪まで勝っていきたい」と気合を入れている。

海外の先例

日本とは異なり、特に欧米では先例が多くある。日本に関係のある事例では、プロ野球で1975年に広島の初優勝に貢献したゲイル・ホプキンス(米国)が挙がる。山本浩二、衣笠祥雄らとともに強力打線を組み「赤ヘル旋風」を巻き起こす一方で、将来的に医師になる目標に向かっての努力も怠らなかった。医学書を持ち歩き、シーズンオフには学校にも通った。現役引退後、母国で晴れて整形外科医になった。

スピードスケート男子のエリク・ハイデン(米国)は母国開催だった1980年レークプラシッド冬季五輪で完全制覇となる全5種目で金メダルを獲得した。500メートルから、一番長い距離では10000メートルとオールラウンドに力を発揮して前人未到の快挙を成し遂げた。スーパースターとなった五輪後にはテレビタレントなどの声もかかったという。それらを断って医学の道へ進み、整形外科医に転身した。

先人の流れを受け継ぐように、現役ではフィギュアスケート男子のネーサン・チェン(米国)が、将来医師になりたいとの希望を胸に秘めている。中国からの移民を両親に持ち、何種類もの4回転ジャンプを駆使。今年3月には羽生結弦(ANA)らを抑え、世界選手権で2連覇を果たした。20歳のチェンは昨秋、東部の名門エール大に進学。競技と学業との両立に「どちらにも集中して取り組まなければならない」と意欲を示している。

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最終更新:7/10(水) 7:05
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