ここから本文です

孤独死は「大人のひきこもり」の最終地点か 高齢者の問題ではない現実「いい人」「真面目な人」の落とし穴

7/12(金) 7:00配信

withnews

孤独死の取材を始めて、4年が経つ。私はその間、様々な孤独死現場を訪ね歩いてきた。孤独死の現場で感じるのは、社会で崩れ落ち、立ち上がれなくなった人たちの姿だ。年間3万人と言われる孤独死だが、ひときわ現場で目立つのは、高齢者ではなく、現役世代だ。孤独死者の属性は、近年社会問題となっている大人のひきこもりとリンクすることが多い。背景を考えるほど見えてくるのは、孤独死者個人ではなく、日本社会のいびつさだった。(ノンフィクションライター・菅野久美子)

【画像】孤独死のあった部屋で見た者は? ゴミの山からのぞく生前の暮らし……過酷な特殊清掃の現場

大人のひきこもりが迎える最終地点

孤独死した人は、何らかのきっかけで人生でつまずき、ひきこもるようになってしまった人ばかりだ。

また、ひきこもりではなくとも、かろうじて仕事には行っているものの、一たび部屋の中に入ると、ゴミ屋敷のようなセルフネグレクト(自己放任)に陥っていて、自らを死に追い込むような生活を送っている。

いや、そんな生活を送らざるを得ないほど、社会や親によって傷つけられ、立ち上がることすら困難だったというのが真相である。

そんな大人のひきこもりが迎える最終地点は、孤独死だ。

「いい人」「うそを吐けない人」「心の優しい人」「真面目な人」

孤独死した人の人生をご遺族の話や遺品からたどっていくと、いびつな社会の実態がまざまざと浮かび上がってくる。

男性は会社組織での権力闘争やパワハラ、ブラック企業での長時間労働、女性は会社組織での理不尽なトラブル、離婚や死別、失恋などをきっかけに、心を病むなどして、セルフネグレクトに陥っていたことがわかった。

ある大手手業に勤めていた40代の男性は、職場のパワーゲームに巻き込まれ、子会社に左遷、そこからアルコールに溺れ、家に引きこもるようになり、孤独死した。

また、一部上場企業に勤めていた50代の男性は職場の上司からパワハラに遭い、20年以上に渡って引きこもり、熱中症で孤独死した。東日本大震災で物資がなくなったという恐怖心からタワーのように異様なお菓子の防壁を築き、部屋のドアは一面カビまみれだった。

「孤独死する人は、真面目でうまくこの社会で生きられない人、生きるのに苦しんでいた人たちばかりです」

原状回復を手掛ける特殊清掃業者から出てくるのは、そんな言葉ばかりだ。

「いい人」「うそを吐けない人」「心の優しい人」「真面目な人」が、社会からひっそりと脱落し、引きこもるようになり、その後遺体が何日、何カ月も発見されないという事実に、私は打ちのめされた。

それは、決して私の人生と生前の彼らの人生とが無関係であるとは思えなかったからだ。

1/3ページ

最終更新:7/12(金) 7:00
withnews

こんな記事も読まれています

あなたにおすすめの記事